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パッケージ・後工程に久々の話題

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半導体の後工程のニュースが相次いだ。国内ではJデバイスが後工程を担ってきたが、Amkorの傘下になり実質的に国内で後工程工場が極めて少なくなったが、装置や材料の動きが目立つ。古河電工のチッピング時のテープや、新川の好調さ、それと裏腹に住友金属鉱山の撤退もあった。

半導体の後工程は、先端部ではWLP(Wafer Level Packaging)技術がAppleのiPhone 7/7 Plusに採用され、一挙に注目を集めている。また、IntelやQualcommなどの先端LSIパッケージはもはやリードフレームではなく、プラスチックのプリント回路基板(PCB)が主力となって久しい。住友金属のリードフレーム撤退のニュースは、むしろ遅すぎたきらいがある。

住友金属鉱山は3月22日、パワー半導体用リードフレーム事業を台湾・界霖科技に売却する契約を結んだと発表した。同社は海外2社と国内に1社のリードフレーム生産工場を持っており、それらの合計売上額は30億円だったが、事業の売却額は5億円だという。今やリードフレームはほとんど海外にシフトしており、国内に残っているのは珍しいくらいだ。

パッケージでは、FO(Fan out)WLPをクルマ用にも使おうという動きが出ている、という趣旨の動向記事を23日の日経産業新聞が報じた。これは、子会社の日経BP社が発行する日経Automotiveの記事を紹介したもの。クルマ用の半導体はこれまで常に実績を積んだ製品しか採用してこなかったが、iPhone 7で使われたFOWLPという新型パッケージをクルマのECUに使う検討を始めるという。ティア1プレーヤーのデンソーは、iPhone 7が年間数億台出荷されていることから、「他社との協業も視野に入れ、新型パッケージ技術の 採用を検討していく」というデンソーのコメントを引用している。

FOWLPは、半導体チップをウェーハ形状の支持台などに並べ直して封止、ウェーハプロセスを使って再配線層を形成して切り取る技術で、PCBやリードフレームなどチップを載せる基板が要らない。このため薄型化が可能で、その上にPoP(Package on package)でDRAMメモリを重ねて実装することが多い。CPUをFOWLPで封止し、メモリとの距離を短縮できるため、システム速度が上がる。FOWLP+メモリのPoPは実質上3D-ICに似ているため、CPU+メモリのスタックしたTSV 3D-ICは当面出番がないとみてよい。外部端子が少ないICだと、WLP(厳密にいえばファンインのWLP)を使い、端子数が多くなれば、チップサイズよりも広い外側に端子を出すファンアウト(FO)WLPを使うことになる。

後工程の装置ではダイボンダーやワイヤーボンディング装置などで定評のある新川が好調のようだ。23日の日本経済新聞は「2018年3月期の連結営業利益は10億円前後と、今期見込み比で約4倍になりそうだ」と報じた。新川は、2017年度第3四半期(2016年12月期)での期末の予想を、営業利益が2億4000万円としていた。前年度までの8年間は営業損益が赤字だったため、黒字転換できそうだ。日経の報道に対して、新川は「一部報道機関において、当社の平成 29 年 3 月期通期連結業績および平成 30 年 3 月期通 期連結業績予想に関する報道がなされましたが、当社が発表したものではありません」とプレスリリースを流しており、正式な発表は5月になる。ただ、最近の半導体産業全体の好調ぶりから、日経報道は真実味がある。

クルマ市場へは部品メーカーでは村田製作所が10年前から積極的に参入していたが、TDKも遅ればせながら、クルマ用に150℃に耐えられる車載用チップビーズ部品とインダクタの量産を始めたと発表した。両製品合計で、月産1000万個生産する予定だとしている。

(2017/03/27)

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