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Intelがクルマに本格的に参入、Qualcommに続く

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クルマとIoT。これからの未来を象徴する二つの大きなトレンドを表すニュースが多かった。特にIntelがMobileyeを153億ドル(1兆7000億円)で買収を決めたというニュースは衝撃的だった。「自動運転」というバズワードは、ドライバーがいらないという未来のことではない。事故を今よりも無くすという安全運転への道を開く技術である。

Intelの買収を高いという向きもあるが、自動車に進出してこなかったIntelにとってはBMWという顧客の付いたビジネスと考えると、今後10年に渡って高い買い物ではないかもしれない。現在、自動車という市場でSoCを展開している半導体メーカーは、ルネサスエレクトロニクスとNXP Semiconductors(旧Freescale Semiconductor)しかいない。最近になってQualcommがNXP買収により参入し、Nvidiaも画像認識というAIを使う用途でGPUで再参入してきた(かつてダッシュボードのグラフィックスにGPUを使おうとしたが時期尚早だった)。この市場にIntelが本格的に乗り出してくるわけだから、バトルが始まる。ルネサスはこれまでのようにはビジネスがたやすくないだろう。

IntelはこれまでMobileyeと自動認識技術を共同で開発してきた。その時にBMWのクルマを使って実験してきた。これからはBMWのクルマを使った公道走行実験に入る。3月17日の日経産業新聞は、「BMWは開発したシステムを搭載した車を21年に発売する方針を表明している」と報じている。

自動車の電装品メーカー、世界トップのBoschは、インターネットと常時接続するクラウドサービス「Bosch Automotive Cloud Suite」を始めると17日の日経産業が報じた。「車や道路インフラに設置された機器と運転手、さらに車の関連事業を手がける保険や部品、修理サービスなど企業をつなぐ。具体的には、道路を逆走した場合に警報を発したり、車の整備が必要な状況を事前に知らせたりする。無線通信でソフトを更新することも可能になる」としている。

Boschはクラウドサービスの前段として、クルマのさまざまなセンサを融合し、センサ信号の意味を理解するセンサハブICを開発している。クルマの履歴を全てクルマのコンピュータであるECUで情報処理できるようにし、さらにクルマを一つのIoTデバイスとみなして今回、クラウドでクルマの安全につなげる。

国内では、ロームがクルマのECUやセンサ、アクチュエータを動かすための電源、PMIC(Power Management IC)を増産する、と16日の日経が報じた。「2018年3月期の設備投資額を17年3月期より100億円多い約550億円とし、フィリピン工場の新生産棟建設などに投じる。安定成長が見込める車と産業機器向けの事業を強化し、20年までに連結売上高に占める同事業の割合を現在の42%から50%へ引き上げる考え」と日経は伝えている。

IoTビジネスでは、NTTドコモが免許不要のIoT専用ネットワークLoraを使った法人向けインターネットとの接続サービスを始める、と17日の日刊工業新聞が報じた。LoraというLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークは、データレートが遅いものの、データを十数km離れた基地局まで届けることがえできることから、ネットワークの敷設費が安く、ベンチャーが参入しやすいというメリットがある。すでにフランスのSigfoxもIoTネットワークを30か国以上で提供している。日本ではNTTドコモという最大手の通信キャリアが参入したことは、IoTビジネスにかける思いが並々ならないことと表している。「シャープや中部電力、大和ハウス工業、セコム、全日本空輸、岡山県赤磐市など48の企業や自治体に提供する」としている。

スイスの大手電力会社であるABBは、工業用のIoTからのデータを交換・解析するプラットフォーム「ABB Ability」を提供する、と17日の日経産業が報じた。このプラットフォームは、MicrosoftのクラウドプラットフォームAzureの上に構築され、ABBのネットにつながる7000万個の機器や、7万の制御システムを基にIoTの付加サービスを展開しやすくするという。

(2017/03/21)

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