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好調半導体、製造装置は2016年11%増を見込む

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半導体産業が好調だ。世界の半導体製造の拠点ともいうべき台湾のTSMCが10〜12月期の利益が前年同期比38%増の純利益1002億台湾元(約3600億円)を計上した、と1月13日の日本経済新聞が報じた。半導体製造業界に納める製造装置や材料も活発で、SEAJが発表した2016年度の日本製半導体製造装置は前年度比11%増の販売額になる見込みだ。

10〜12月期におけるTSMCの売り上げも2桁成長で29%増の2622億台湾元と好調だった。スマートフォン向けのアプリケーションプロセッサ製造が好調の主因だとしている。モーリス・チャン会長は17年も売り上げ、利益とも好調で5〜10%成長するとみているという。半導体を含めた台湾のIT産業の主要19社の売り上げも12月は前年同月比5.1%増と4カ月ぶりの増収となった。

SEAJ(日本半導体製造装置協会)は、2016年度~2018年度の日本製半導体製造装置の需要予測を発表し、3年間はプラスで成長すると予想した。16年度は11.6%増の1兆4605億円の後、17年度はさらに3.4%増、18年度も1.2%増と伸びを期待している。背景にはIoT、AI、自動運転などの進展が見込まれるため、クラウドサーバや車載半導体などの需要が見込まれるとしている。

半導体材料メーカーも攻勢に転じている。封止樹脂の日立化成は、川崎市にパッケージイングソリューションセンタを新設すると13日の日経産業新聞が報じた。総面積は4900平方メートルで、つくば市にある現在の共同研究施設を移転し、規模を3倍に拡張する。クリーンルームも1200平方メートルを設ける。チップをマウントするために使う基板の大きさを今後600mm角のサイズに対応する装置を導入するとしている。JR新川崎駅付近で建設予定のビルに入居し、2018年8月から本格稼働する。

13日の日刊工業新聞によると、JXエネルギーは、SiC、GaNなど高温動作可能な半導体に向けた封止樹脂、脂環式エポキシ樹脂化合物に力を入れる。この樹脂は250〜300℃に耐えられる。これまでのSiC半導体は高温動作が可能でも、量産向けの封止樹脂がなかった。樹脂はSiC半導体の価格を下げ、普及させるうえで重要な役割を果たす。JXはさらに、250℃以上の耐熱性を持つ液晶ポリマー「ザイダー」を応用した熱可塑性樹脂も提案する。高温動作に加え、高周波特性が優れているためミリ波レーダーの基板としても売り込むとしている。

半導体需要の一大市場が見込まれるIoTシステムもビジネスが進んでいる。Industrial Internetを提案しているGE(General Electric)は、IoTのソフトウエアプラットフォームである「Predix」関連の売り上げを16年の3億ドルから2017年は10億ドルと3倍に増やす、と13日の日経産業が伝えた。このためにパートナー企業を増やし、実効的にソフトウエア開発者を増強する。パートナー企業の数は16年の300社から500社に増やす見込みである。

国内でも日立製作所や東芝などが自社開発のIoTプラットフォームを持っているが、日立はプラットフォーム「ルマーダ」を活用して、顧客を見つけた。米不動産サービス最大手のJones Lang LaSalle(JLL)とIoTサービスで提携し、AI解析を加えて効率的な職場作りを提案する。日立の中央研究所の矢野和男氏が開発した手法を用い、顧客企業のオフィス内にある机やいす、扉などに小型センサを取り付け、センサからの温度や振動のデータから社員がどれだけ机に向かっていたか、いつどのように会議室を利用したかなどの情報を集め、ルマーダ内のAIで解析する。それをJLLのコンサルタントが、レイアウト変更や作業手順などを助言する。

IoTビジネスは、大手に負けず中小にもビジネスチャンスがある。オリックスグループのユビテックは、工場の稼働効率改善サービスを始めるという。IoTセンサを工場の設備に配置し、IoTシステムの導入から分析までを一貫提案し、さらに大手よりも低価格を提案するとしている。

16日の日刊工業によると、ランプのウシオ電機が設備や作業工程などから集めたデータを統合、処理するプラットフォームの開発を進めていると報じた。2017年初めに固体光源の生産工程で運用し、将来は世界の生産拠点に展開する計画だとしている。データを一元管理する「ウシオ・プラットフォーム」を活用し、生産性や品質、収益の向上につなげたいとしている。匠の技が必要な工程の自動化を狙う。

(2017/01/16)

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