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SEMICON Japan 2016、出展社・来場者とも前年を上回る盛況ぶり

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先週はSEMICON Japan 2016が開催され(図1)、半導体製造装置だけではなく、それを核とした総合展示会へと変貌しつつある。国内における半導体製造拠点が減少し、製造装置だけではなく、半導体、さらにその応用までも包めようとしているからである。IoTパビリオン、フレキシブルハイブリッドエレクトロニクス、イノベーションビレッジなども併設した。

図1  盛況だったSEMICON Japan 2016  出典:SEMI

図1  盛況だったSEMICON Japan 2016  出典:SEMI


12月14日〜16日に開催されたSEMICON Japan 2016は第40回目を迎え、開催前から40回目の記念ロゴを制作した。前日の記者会見(図2)には、製造装置産業からだけではなく、半導体デバイスメーカーとしてインテルジャパンの江田麻季子代表取締役社長、米国大使館商務省のErick Kish商務官も出席した。さらに米国大使館の首席公使公邸で前夜のパーティも開かれ、基調講演者をはじめ関係者が多数出席した。40回目の今回のテーマは「Connect」であった。


図2  SEMICON Japan 2016開幕前の記者会見

図2  SEMICON Japan 2016開幕前の記者会見


初日を終えた15日の日経産業新聞は、「『セミコン・ジャパン』開幕、IoT普及、半導体進化 −東京エレクトロン、日立国際電気」と題して、タイトル2社と日立ハイテクノロジーズ、ディスコ、ミニマルファブの装置を紹介した。大きく変わったのは東京エレクトロンだ。同社は、装置を実機として1台も展示せず、ブースを顧客との商談の場に変えた。このコンセプトは、海外では当たり前になっており、バルセロナでのMWC(Mobile World Congress)やラスベガスでのCESでも同様で、先端企業は部品や装置を展示せず、商談ルームをいくつも持つ。面白そうな材料や見せなければわからないようなデバイスなどは展示するが、フォームファクターがはっきりした製品の展示は少ない。

同日の日刊工業新聞は、「セミコン・ジャパン開幕−異業種からの出展目立つ」と題した記事を掲載した。IoTは、異業種からの参加を促しやすいテーマである。特別展示の「ワールドオブIoT」では、コニカミノルタのウェアラブル機器やファナックのIoTプラットフォーム、さらに「フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス(FHE)」のコーナーの東洋紡など異業種を紹介している。

日経産業は16日に「フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス」のレポートを掲載した。FHEは、フレキシブルプリント基板上に配線するという従来の技術に能動デバイスとして有機トランジスタを使いオール有機の電子回路を目指したフレキシブルエレクトロニクスは実用化が遠いとして、能動デバイスはシリコンCMOSチップを薄く削ったICを使うという発想だ。FHEはより現実的になり、ウェアラブルデバイスや機器に使う技術として実用化が期待されている。

FHEが現実的になったのは、その技術を推進するFlexTech AllianceがSEMIと提携し、パートナーシップとなったからだ。SEMIは現実の製造装置を扱う団体であり、FHEも現実的な製造装置を必要とする。今後のウェアラブル応用に向けたフレキシブルデバイスがより現実的になる。

IoTパビリオンでは、半導体製造装置ユーザーにあたるファウンドリの三重富士通セミコンダクターや、実際にIoTデバイスを使ってモーターの振動を検出し見える化を図ったアナログ半導体メーカーAnalog Devicesがデモしていた。製造装置とIoTデバイスとの距離が縮まったと言えそうだ。加えて、IoTデバイスからのデータを収集・管理・解析するためのソフトウエアプラットフォームを提供するSAPジャパンやシーメンスなども参加し、データを解析するための人工知能「コグニティブコンピューティング」を提供する日本IBMなども参加しており、IoTのサプライチェーンが出そろった。

SEMICON Japanが終わり、展示会に参加した人数は3日間で、前年より6.3%増の6万4163名となった。2017年は半導体デバイス市場が上向き、製造装置市場も堅調に伸びるという見通しで、2016年における製造装置は前年比8.7%増の396億9000万ドルだったが、2017年はさらに9.3%増の434億ドルになるとSEMIは予測する。

(2016/12/19)

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