IoTのシステムからデバイスまでいろいろ登場
IoTがセンサからデータ解析システムまで、さまざまなツールが揃ってきた。多くのIoT端末の要求にはとにかく低消費電力が最優先。またクラウド上では、データ解析からアプリ開発まで可能なプラットフォームが求められる。
住友精密工業はIoTモニタリングシステム「neoMOTEクラウド」を提供すると発表、4日の日経産業新聞が報じた。IBMが提供するPaaS(Platform as a Service)であるBluemixを利用してアプリを短期間にスケーラブルに対応できるコグニティブコンピュータ(人工知能) IBM Watson IoT Platformを基盤とするシステムをブリスコラが開発した。この結果、Bluemixベース上にある住友精密のIoTモニタリングシステムを使うことによって、住友の無線センサを活用する顧客企業にとって、データの収集とモニタリング、分析が容易にできるようになる。
ここでは、MEMS製造装置やデバイスに強い住友精密のIoTセンサ端末が、データを収集しクラウドに上げる。そのデータを分析したり、アプリを開発したりするためのツールがIBM Bluemixである。そのソフトウエアツール(プラットフォーム)を載せているコグニティブコンピュータ(人工知能)が、IBM Watson IoT Platformである。このハードウエア上で、Bluemixツールを使えば、センサデータの収集や管理、制御するためのアプリを簡単に開発できる。Bluemixには140を超えるサービスとAPIを備えているという。特にIoTにおいては直感的な操作でアプリケーションを作成することのできるフロー・エディター「Node-Red」が提供されているとしている。
これらはクラウド上でのデータ収集、管理、制御、見える化によって、ユーザはスマホやパソコンで、その結果を見ることができる。
東芝は、クラウドだけではなく、IoT端末やゲートウエイ上でデータを解析する「エッジコンピューティング」の仕組みを取り入れたIoTシステム「SPINEX」を開発、工業用のIoT向けの顧客にそのサービスや機器を販売する。現場でのリアルタイム処理と、クラウドを最適に組み合わせる仕組みを作った。これにより、デジタル上に現場の機器を忠実に再現し、遠隔監視で機器の状態を見守り、いち早く兆候を捉えて改善できるようになる。さらに、「SPINEX」はモノをつなげるだけでなく、東芝が長年取り組んできたメディアインテリジェンス技術により音声や映像などの情報を解析し、人の意図や状況を理解し活用できるとしている。
海外でIoTサービスの提供する企業もある。双日はインドネシアでIoT事業に参入すると11月1日の日刊工業新聞が伝えた。現地ベンチャーのデジタル・インスティンクツ・テクノロジ社(DIT、ジャカルタ)と資本提携し、自動車の運行管理に関するビッグデータ分析技術を使った物流改善や業務効率化サービスを提供する。
IoT端末のセンサ部分でも動きがあった。ロームは、人間の脈を測定する脈波センサを開発、これまで最も低い消費電力を実現した、と1日の日経産業が報じた。これは、最近のウェアラブル端末に備えられている脈拍計あるいは心拍計の消費電力を下げたもの。市販の脈拍計と同様、LEDを発射、その反射を見る。血液がどっと送り込まれると血管が膨らみ、それが過ぎ去ると縮むことから反射率が変わるという性質を利用する。ここでは緑色のLEDを使い、外光の赤外線をカットし緑色を良く通すフィルタをかけ、外光ノイズを抑え、低電力にした。
このセンサは発光用のLEDとセットで使うICであり、LEDには3V程度必要なので、ICの動作電圧を2.5〜3.6Vとし、動作時の消費電流を0.74mAに抑えた。従来品は1.5mAあったという。なお、ICだけなら1.7〜2.0Vの動作電圧で0.86mAという市販製品もあるが、LEDを駆動するためにDC-DCコンバータを追加しなければならなかった。結局、市販の競合品と比べ、消費電力は半減したといえる。