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クルマとIIoTの提携ニュースが増えている

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クルマとIoTに関する記事、それも提携話が多い1週間だった。まさにIntelが狙う次の分野そのものだった。Intelは自動運転車でBMW、Mobileyeと提携すると共に、工業用IoT (IIoT) で日立製作所、三菱電機と提携すると発表した。クルマもIIoTもシステムの世界であるからこそ、半導体、ハード、ソフトとの提携も目立った。

Intelは将来の自動運転車への進出を狙い、米国上院の公聴会でロビー活動しており、第5世代のワイヤレス通信である5GでもIoT向けの規格設定に向けた活動をしている。今回、BMW、Mobileyeと提携したのは自動運転やADAS(先進運転支援システム)に必要な高速演算市場の地位を固く守るため。自動運転やADASには、クルマの前方や周辺にある物体が何であるかを認識し、避けるべきかを判断し、ハンドルを回したりブレーキを踏んだりする判断を行い、実行する機能が必要だが、認識と判断には高速のコンピューティングシステムが欠かせない。ここにIntelが参入する余地がある。自動車メーカーのBMW、クルマ用の認識などのソフトウエア開発とファブレス半導体チップを持つMobileyeと、高速プロセッサが得意なIntelが組んで、クルマの認識・判断機能を構築することが可能になる。

通信オペレータのNTTドコモは、ソフト開発のDeNAと提携し、将来のコネクテッドカーに参入する。V2V(車車間)やV2X(車路間)通信だけではなく、クルマの周囲の映像化による物体認識検出と車間距離一定などの操作技術も開発すると、6月30日の日本経済新聞は伝えている。

クルマがシステムになるにつれ、制御とコンピュータの両方が欠かせなくなっている。半導体商社のトーメンエレクトロニクスと豊通エレクトロニクスをそれらの親会社の海外部門と共に合併することを豊田通商が方針を固めた。これは7月1日の日経が報じたもの。グラフィックスプロセッサのnVidiaはゲーム市場では強いがクルマ市場へはなかなか入りにくい。名古屋の豊通エレはクルマ用の半導体が強い。両社が合併することで、システムとなったクルマの市場に売るべき製品を訴求できる。また、デンソーは車載用の組み込みソフト開発でNTTデータMSEに資本参加した、と7月4日の日刊工業新聞が報じた。出資比率は15%。

また、IIoTでは、センサからの多数のデータを分析しわかりやすい形に見える化する必要があるが、ここでもIntelが得意とするビッグデータを解析するための高速演算が欠かせない。Intel、三菱との3社提携では日立がむしろ中心となった。人工知能や日本のクラウドに強い日立は、工場のFAや機械、制御機器とそれらのネットワークに強い三菱電機、そしてIntelと組むことで、工場のIoTシステムの構築、データ処理、サービスなどのシステム開発をスムースに行うことができる。

日立製作所の子会社の日立パワーソリューションズは、工場設備の故障をリアルタイムで診断予測する装置を、イタリアの組み込み通信機メーカーEurotechと共同開発した。センサネットワークからインターネットにつなぐ役割を持つゲートウェイにソフト「ハイパンプス」を組み込み予兆診断するというもの。まさにエッジコンピューティングの機能を利用し、ここでデータを整理した形でクラウドへ送る。工場内の詳細なデータだけをここで処理し、FA機器にフィードバックする。

IoTデバイスそのものの動きもある。オムロンは、IoT向けセンサ(光電、近接など光を利用するセンサ)を80種類新製品として発売した。配線ケーブルの断線などの異常を検出したり、振動や部品の摩耗による検出位置のずれ、埃による光量低下などを検出する。また、センサ単体だけではなく、送信機も集積してIO-Linkを通してデータを送信する。ルネサスはIoT端末をセキュアに守る回路IPを開発した。マイコンに集積してマイコンをサイバー攻撃から守ることができる。

IIoTシステムそのモノとも言うべき、インダストリー4.0を提案したドイツのシーメンスは今後5年間で人工知能(AI)に10億ユーロを投資すると発表した。IoTシステムの中のデータ解析にAIは威力を発揮する。東芝は、IoT端末としてのウエアラブル活動量計事業をTDKに売却したことがわかったと1日の日経が報じた。TDKはスマホ以外のビジネスの一つとしてヘルスケア、ウエアラブルを推進している。

(2016/07/04)

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