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新しいメモリ企業が誕生

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久々に新しい半導体メーカーが誕生しそうだ。2012年に経営破たんしたエルピーダメモリの社長を務めた坂本幸雄氏が半導体新会社「サイノキングテクノロジー」を設立した、と2月22日の日本経済新聞が伝えた。これから開催される記者会見の案内が19日にセミコンポータルにも届いていたため、これは、日経が会見前に報じた記事といえる。

受け取った記者会見の案内によると、「この度、日本・台湾の技術力と中国の資本力を基に、先端メモリの開発を行う新しいプロジェクトをスタートする運びとなりました。つきましては、下記のとおり記者会見を催したいと存じます」とあった。差出人は「サイノキングテクノロジージャパン(株) CEO 坂本幸雄」とある。これは、サイノ側が日経だけにリークしたか、あるいは日経が事前に取材させろと迫ったか、のいずれかである。というのは、この会社の中身については、記者会見案内には全く触れられていないためである。

22日の日経報道では、半導体設計会社「サイノキングテクノロジー」を設立したとあり、「日台と中国を中心に設計や生産技術の担当者を採用して、1000人規模の技術者集団を形成する」と述べている。また、「サイノ側が次世代メモリを設計し、生産技術を供与する。第1弾として、(中略) IoT分野に欠かせない小電力DRAMを設計し、早ければ17年後半に量産する」と報じている。

しかし、この報道だけでは不明な点が多すぎる。日台がDRAM設計専門会社で、中国側が生産工場になるように読めるが、その規模や狙いが今一つ明らかではない。さらに、IoTセンサ端末には通常、マイコン程度のコントローラが使われ、単体DRAMのような大規模メモリは必要ない。IoT端末には省電力は必須だが、演算能力の高さはそれほど必要としない。しかし、ゲートウェイやM2M端末のように直接インターネットとつながるIoTデバイスでは、エッジコンピューティング能力が必要で、DRAMが必須となる。この場合は多少電力を食うが、低消費電力というほどではない。今はむしろ、どのようなシステムでも省電力化は当たり前になっているため、わざわざ述べるほどではない。だからこそ、IoTシステム全体のどこを狙うのか、今一つ明確ではない。こういった疑問をこれからの会見ではっきりさせて、後日報道したいと思う。

最近の半導体産業は、部品メーカーが半導体メーカーを買収する傾向が強い。先週は、TDKがドイツを拠点とし、アナログやセンサに強いMicronas Semiconductor社(持ち株会社はスイスに登録)の買収を完了したというニュースがあった。公開買い付けによりTDKが購入した株式は、Micronasの保有していた全株式の82.57%に当たる。購入した株式数は、2386万7354株で、1株当たりの買い付け価格は7.5スイスフラン(923円)であるから、買収金額は約220億円になる。TDKは欧州子会社のTDKマグネティックフィールドセンサー社を通して、購入した。

電子部品メーカーの最大手である村田製作所は、すでにMEMSのVTI社と高周波CMOS SOIのPerigrine社を買収しており、ミツミ電機は北海ルネサスセミコンダクター、を買収している。京セラは日本インターを106億円で買収、パワー半導体を手に入れた。また、太陽誘電はまだ半導体企業を買ってはいないが、半導体技術を応用したRF MEMSチップを開発している。TDKはどちらかといえば、半導体企業の買収には少し遅れていた。

しかし、TDKは最近、半導体分野に力を入れてきており、1月13日には米Qualcommと合弁でRF360社を設立した。この新会社は、TDK のマイクロアコースティックRFフィルタリング技術、パッケージング技術、モジュール集積技術と、Qualcomm Technologies, Inc. (QTI) の先進ワイヤレス専門技術とその実績を元に、最先端のRFソリューションによる統合システムをユーザーに提供する。電子部品メーカーの半導体企業買収は、今後、工場単位で行われるかもしれない。

(2016/02/22)

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