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新ベンチャーや新ビジネスが登場

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新しいビジネスが続出している。先週の各紙新聞報道から、このような動向が読み取れる。半導体製造装置の受注がこの第3四半期に主要7社合計で15〜18%減少する中、無人飛行機ドローン向けやウェアラブル端末向けのベンチャーが誕生し、スティック型の超小型PCが年に10万台の市場に生まれつつある。水力発電所へのIoT利用例も出てきた。

8月28日の日本経済新聞によると、2015年第3四半期(7〜9月)における半導体製造装置主要7社の合計受注額は、前四半期比15〜18%減の2800~2900億円に減少するという。パソコン市場の低迷、スマートフォンの伸びの鈍化などが影響していると見ている。

このような状況下で、新しいビジネスが続出している。ソニーは、ロボットや自動運転などのベンチャー、ZMPと共同でドローン事業のベンチャー、「エアロセンス」を設立したと発表した。ドローン市場は現在、ホビー用途で中国のDJI社などがシェアを占めているが、エアロセンスは法人需要に狙いを定める。ドローンというハードウエアよりは、ドローンで撮影、測量したデータを活用するサービスのプラットフォームに育てるとしている。「離陸ボタンを押せば自動飛行し、測量して帰還する」。測量したデータはクラウドに飛ばし、データの解析・管理にはクラウドを利用する。すでにコマツや綜合警備保障などは自前でドローンの利用サービスを始めている。これからはサービス内容が問われることになる。

ヘルスケアサービスのベンチャーFiNC社(東京・中央)は、このほどみずほ銀行からの融資と、個人などからの出資により、合計6億5000万円を調達、2015年中にリストバンド型のウェアラブル端末を開発する、と24日の日経が報じた。利用者の歩数や消費カロリーなどのデータを端末から集め、IBMの人工知能コンピュータ『ワトソン』が助言するサービスへと展開するという。同社は専用アプリで専門家が生活改善を支援しダイエットを成功させるサービスを展開してきた。ウェアラブル端末データとの連動でより的確なアドバイスが可能になるとしている。

USBメモリー大のスティックにパソコン機能を搭載したスティック型パソコンが市場を形成しつつある。100g未満の重さと2万円前後という値ごろ感が受けているようだ。本体に映像出力端子HDMIを備えており、PC画面をテレビに出力する。ただし、キーボードやマウスをBluetooth通信で「接続」する必要がある。スティックパソコンの仕様はどの製品もほぼ同じだという。CPUにはIntelのAtom Z3735Fを内蔵、メモリーは2GB、ストレージは32GBで、Wi-Fiでインターネットとの接続も可能。

IoTを社会インフラに活用する、スマータープラネット(Smarter Planet)のコンセプトが水力発電所に利用される。明電舎は、水力発電所の設備を遠隔地から監視、予兆診断を行うクラウドサービスを2016年度に始める、と27日の日刊工業新聞が伝えた。センサやカメラを発電所の設備に搭載し、データをクラウドに上げ、クラウドで分析する。水漏れ・油漏れや騒音、振動などの異常を素早く検出し、故障を未然に防ぐ。水力発電所のある山間部では保守作業の労力が大きいため、IoTを用いて作業の効率化を図る。明電舎は、水車や発電機に振動センサや音センサ、マイクロスコープ(ディスプレイに拡大画像を表示する装置)を装着、それらのデータをクラウドに上げる。インターネットを通じ同社のカスタマセンターや顧客の情報端末でデータを取得・閲覧する。

ロームは部品メーカーからシステムメーカーへと展開する。家庭内の照明をスマートフォンなどで一括制御できるシステムを9月に発売すると26日発表した。これは、無線機技術を使うことで、各部屋にある照明器具の明るさを最大32のシーンに応じて変えることができるというもの。無線通信の中核となるのはホームゲートウェイで、パソコンやスマホからWi-Fiで制御信号などを通信、照明器具のスイッチにはEnOceanのエネルギーハーベスティング技術を用いた。エネルギーハーベスティングのスイッチは電池も電源も必要ないため、どこにでも取り付けられる。スイッチはゲートウェイと通信し、各照明器具は920MHzの特定小電力無線を使う。住宅の新築やリフォーム時の需要を狙う。

(2015/08/31)

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