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IoT端末、ビッグデータ解析、製造装置のあり方が鮮明に

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IoTシステム構築に向けたニュースが先週も出てきている。米Fitbit社のリストバンド式ヘルスケア端末の好調さ、国内ではIoT端末からの多くのデータ、すなわちビッグデータ解析ツールをNEC、インテックが手掛け、東京エレクトロンはIoT半導体に合わせた装置ビジネスへの展開を急ぐ。

リストバンド型ヘルスケア端末(ウェアラブル端末ともいう)の新興大手、米Fitbit社の端末が2015年4〜6月期に前四半期比15%増の450万台売れたと、8月20日の日経産業新聞が報じた。同社の端末は歩数や歩行距離、消費カロリー、睡眠時間などを自動的に記録、スマホやタブレットなどと連携し、アプリを使って健康管理ができる。SNSによって家族や友人と情報を共有して競ったり励まし合ったりするのも可能だ。価格も1万円以下から3万円程度の製品まで幅広い。

日経産業によると、企業が従業員向けの健康増進プログラムを推進するため、割引購入や加入者モデルの健康管理ソフトなどを提供する。自動車保険会社のGeicowはじめとする企業がこの四半期に導入することを決めたという。企業向けには、小規模の会社から大企業まで様々なプログラムを組みサポートしている。

ウェアラブル端末は、Appleや小米、Samsungなど後発組の追い上げが激しく、1社が市場シェアを確保することは難しくなっている。しかし、市場の成長は非常に期待されており、2015年には前年比2.73倍の7210万台に成長すると市場調査会社のIDCは見ている。同社は2019年には、CAGR(年平均成長率)42.6%で成長を続け1億5570万台になると予想している(参考資料1)。

ウェアラブル端末などからのデータを解析するビッグデータ解析をコンピュータに行わせる手法をNECが開発、データサイエンティストによるデータ処理時間よりも短い1/3の時間で結果を出せるとしている。これは、18日の日経産業が報じた記事で、ビッグデータに埋もれた法則性を見つける前段階として、価値のありそうなデータ候補を段階的に絞り込んでいく手法を使うという。目標値との関係の深い処理方法を見つけ、判断してデータを絞り込んでいく。

ITサービスのインテック(本社:富山市)は、IoT端末からのデータを分析するクラウドサービスを始めた、と20日の日経産業が伝えた。ビッグデータを分散処理したり、ゲートウェイを遠隔制御したりできる仕組みを開発した。製造業や電力、健康管理などさまざまな分野適用できるようなプラットフォームを開発、これをサービスとして組み込んでいる。導入前にインテックのエンジニアが分析手法の設計などを手掛ける。

データセンターのストレージを担う高速のSSD「CloudSpeedUltra」をSanDiskがサンプル出荷を始めたと20日の日経産業が報じた。1.6TB、800GB、400GBの3種類の製品だが、1.6TB製品の場合、4KB分の書き込みを1秒間に32,000回の速度で行える能力がある。平均的な書込みレイテンシは56µsと短い。

IoT端末は基本的に、センサ類、アナログインタフェース、制御マイコン、トランシーバ、電源回路からなり、微細化はそれほど必要としない。こういった用途に向けた半導体製造装置の取り組みを、東京エレクトロン社長兼CEO(最高経営責任者)の東哲郎氏のコメントを21日の日経が紹介している。東京エレクトロンはこれまで5万4000台という納入実績を持つ。この保守サービスに力を入れる。「IoT時代には旧式装置を保守・改造する需要が増える」(同氏)と期待し、この分野における売り上げが2015年3月期には1700億円だったが、20年3月期までに2000億円に拡大すると見込んでいる。


参考資料
1. Worldwide Wearables Market Forecast to Grow 173.3% in 2015 with 72.1 Million Units to be Shipped, According to IDC (2015/06/18)

(2015/08/24)

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