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Googleがホールディングカンパニーを設立、新規事業を促進

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先週はお盆休みで国内ニュースが乏しい中、米国ではGoogleがホールディングカンパニーを設立してこれからの新規事業拡大を狙うというニュースが流れた。加えて、中国政府による元の切り下げ、天津の巨大爆発事故などの中国リスクが顕在化し、中国を回避する動きが見られる。

GoogleはAlphabetと名付けたホールディングカンパニー(持ち株会社)を設立することを発表した(参考資料1)。8月12日の日本経済新聞もこの発表を採り上げた。今やGoogleはインターネット検索だけではなく、アンドロイドOS、GPSと連動した地図や自動運転車、Chromeブラウザなどの開発、YouTubeなども手掛けてきた。多くの場合、インターネット検索と連動させているため、本業から離脱している訳ではない。しかし、ドローンの開発・利用となると業務の制約が出てくる。会社定款からはずれるためだ。ホールディングカンパニー制を採り、事業を独立させることで、幅広く事業を展開できる。

今回、AlphabetのCEO(最高経営責任者)には、Google CEOのLarry Page氏、社長に共同創業者でGoogle社長でもあるSergey Brin氏が任命された。Google本体のCEOにはSundar Pichai氏を任用した。今後、Alphabet傘下に、Google、YouTube、ドローンを開発していたWingチームを含むX lab、投資活動を行うVenturesとCapitalなどを持つことになる。さらに新規事業が横展開しやすくなる。

米国ではドローンを利用するための標準規格を決める活動が活発化し、産業がいよいよ離陸すると、11日の日経が伝えた。ドローン同士が衝突しないための通信規格を決めたり、端末からの干渉を防いだりするための通信など、これからは通信規格が実現のカギを握る。さらに免許登録、飛行記録管理、保険条件なども詰めなければならない。さらに実際のドローン同士での衝突を避けられることを確認するためのインターオペラビリティなども検証する必要がある。

中国リスクを回避する動きも出ている。11日の日経は、モバイル製品のアプリケーションプロセッサでQualcommに次ぐ、台湾MediaTek社CEOのMing-kai Tsai氏とのインタビュー記事を掲載、中国の成長減速への対処を議論している。中国でのスマホは今や買い替え需要が非常に大きいとする。AppleのiPhoneの出荷台数が今年の第1四半期でトップに立ったことはその事実の象徴でもある。新規需要では中国ではなくインド市場が期待できるとする。小米科技も中国市場からインド市場へ向けた端末にもMediaTekのプロセッサが搭載されているという。昨年5月にMediaTekは、インドに2カ所目の研究開発センタ―をバンガロールに設立し、今後数年で2億ドルを投資するとしている。

韓国Samsungもベトナムに有機ELパネル工場への投資を2兆3000億ウォン(約2400億円)積み増しし、2020年までに総投資額を3700億円とする、と12日の日経は報じた。有機ELの前工程は韓国内で行い、後工程をベトナムに持ってきている。15年初頭から生産を開始しているという。

日本のサンケン電気が85億円を投じてタイに車載用センサICのアセンブリ新工場を建設した、と11日の日経が伝えた。自動車用のエンジンやタイヤ、ハンドルの回転数などを検出するセンサだとしている。もはや中国に新工場を作らなくなっている。今回、サンケンの米国子会社であるAllegro Microsystemsがタイに新工場を設置し、後工程のクリーンルームを備える。さらにサンケンは、別に100%米国子会社Polar Semiconductorを持ち、ここでセンサICのウェーハ工場を持つ。このミネソタ工場でも10億円を投資して生産能力を10%増強する計画だとしている。サンケンは、米国にホールディングカンパニーSanken North America, Inc.を持ち、AllegroとPolarのその傘下になっている。

メモリでは、DRAMの価格低下が顕著になり始めたのに対して、NANDフラッシュの価格は4ヵ月連続横バイという好調な状況である。13日の日経によると、64GビットのMLC(多ビット/セル)製品の単価は2.52ドルと前月分と変わらなかったとしている。安価な3ビット/セルの64Gビット品は1.71ドル、とこれも下がっていない。

半導体後工程の製造装置メーカー、東京精密の2015年4〜9月期の見込みが発表された、と12日の日経が伝えた。これによると、連結純利益は前年同期比26%増の53億円になる見込みだとしている。従来の予想よりも5億円上回る上方修正になる。売上額も同10%増の360億円と、これも予想より10億円上回る。営業利益が同30%増の74億円とこれも7億円の上方修正した。アジアを中心に半導体検査装置の販売が拡大し、顧客企業の設備稼働率が高まったとしている。4〜6月の連結決算では純利益が前年同期比80%増の27億円、売上額は同30%増の183億円だった。


参考資料
1. Google Announces Plans for New Operating Structure (2015/08/10)

(2015/08/17)

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