ルネサス好調、製造装置・検査装置も続く
先週は、電機産業の決算報告会が相次ぎ、2015年4〜6月期の結果が出てきた。ルネサスの発表が金曜日に行われ、営業利益率が順調の高まっている様子を示した。装置・検査メーカーでは東京エレクトロンとアドバンテスト、総合電機では、日立製作所とパナソニックから発表があった。
ルネサスエレクトロニクスは、構造改革をほぼ終え、不採算事業の売却によりルネサスSPドライバの売却や工場閉鎖などを行い、売り上げは落ちたが、本業のもうけを示す営業利益は順調に上げてきている。4〜6月期の売り上げは前年同期比14%減、前四半期比2%減にあたる1793億円だった。この内、半導体製品の売上額はそれぞれ同13%減、同0%で、1745億円となった。総利益率は44.5%でそれぞれ6.1%ポイント、1.7%ポイント上がり、営業利益率は同5.2%ポイント増、4.6%ポイント増の18%、324億円を示した。
図1 ルネサスの2015年4〜6月期の利益は上向き 出典:ルネサスエレクトロニクス
半導体製品の営業利益率は17.8%に達し、順調に業績を上げてきている。売上総利益率は2017年3月期までの目標である45%にほぼ近づいた。車載用事業として40nmのフラッシュマイコンの量産を立ち上げ、Audiの認定を受け、さらにアナログICとして90nmのBiCDMOSプロセスの製品を量産中であるため、今後の攻めの戦略として、これらの効果が期待される。加えて、バランスシートが改善され、キャッシュフローが増えてきたとして、M&Aの準備もしているという。
国内最大の半導体製造装置メーカー、東京エレクトロンは、売上額が前年同期比2.9%増の1557億円となり、売り上げ総利益率が18.6%増の657億円となった。営業利益は同19%増の302億円となった。売上額は対前四半期の1818億円よりは下がっているが、これは季節要因であり、問題にするほどではない。経営の安定化を図るため、5月から自社株買いをはじめ、そのための財務キャッシュフローを363億円使っているが、これは金のあるうちに自社株を買っておこうとする健全経営の一手段といえる。
ただし、Intelが投資を控えたことがあり、今年の後半にはメモリは伸びるものの、ロジックはややスローダウンしていくだろうと見ている。このため、下期の予想額を4月27日時点よりも485億円低い3065億円とした。この下方修正をメディアは大きく採り上げたが、一過性のものであろう。
製造装置メーカーは半導体メーカーの製造部門の影響を強く受けるが、検査装置のアドバンテストは、完成品のテストに影響されるため、1社の影響というよりも製品動向の影響を受ける。この四半期の売り上げは、前年同期9.4%増の403億円となり、売り上げ総利益が11.7%増の226億円、営業利益が12.8%増の27億円となった。純利益は5四半期連続黒字を計上した。
アドバンテストはDRAM専門メーカーからの脱出が成功し、今や半導体・部品テストシステムのメモリ比率は少なくなり、この分野の売り上げ269億円の内、DRAMとNANDフラッシュを含めたメモリテスターの売り上げは91億円にとどまった。非メモリ向けテスターの売り上げは主にスマホのアプリケーションプロセッサ(APU)のテストが拡大していることが大きいという。APUでは、QualcommやMediaTekの売り上げが減り、代わって中国のSpreadtrumやHiSiliconが伸びてきているが、アドバンテストはこれらのAPU向けテスター市場に入り込んでいるため、浮き沈みはほとんどないという。
電機では、日立とパナソニックは対照的だった。日立が前年同期比7%増の2兆3140億円を売り上げ、売上原価と販管費を差し引いた営業利益は同3%増の1153億円となった。これに対して、パナソニックは売上額が前年同期比横ばいの1兆8523億円、税引き前利益が32%増の727億円だったが、営業利益が7%減の766億円となった。リストラ効果で利益を計上しても、本業は利益を減らしたことになり、パナソニックの株は、決算発表の翌30日、東京株式市場で前日比最大7%も下落した。