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IoTシステム実用化のニュース相次ぐ

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生産性向上のためのIndustry 4.0や、新規ビジネスモデルを構築するためのIndustrial Internetなど、IoTシステムを活用するモノづくりが注目を浴びている。IoTシステムでは、物理量を測るセンサ、IoT端末、端末からの情報を解析するソフトウエアなど、IoTを構成するさまざまな要素が先週のニュースで多数登場した。

7月3日の日本経済新聞は、日立製作所が超小型センサを開発したニュースを伝えた。これは、縦2.5mm、横2.5mm、厚さ0.2mmと米粒よりも薄い大きさのセンサで、物体の圧力や引っ張り、トルク、せん断力、低周波振動などを検出するという。センサと信号処理回路、トランシーバなどを集積しているようだ。日立オートモーティブシステムズが自転車大手のシマノ向けに出荷を開始した。モータアシストの仕組みに使う。

MEMSセンサだけではない。CMOSイメージセンサもIoT端末に利用する。3日の日経は、ソニーが高感度・高解像度の4K CMOSイメージセンサを利用した監視カメラを8月に発売すると報じた。屋外型のネットワークカメラで、三日月程度の薄明かりでも被写体を逃さず撮影できるとしている。4Kもの解像度を高めるため、有効画素2000万画素の1インチサイズの裏面照射型CMOSセンサを用いた。犯罪防止に役立つ。ソニーはまた、CMOSセンサの量産能力を上げるための設備投資に備えて、公募増資と転換社債の発行などで4400億円を調達すると発表した。増資により自己資本比率を高め、財務体質の改善を見込まれれば、格付けの向上につながり、資金調達がしやすくなる。

九州電力の子会社の九州通信ネットワークと共同技術コンサルタントは共同で、大学関係(宮崎大学、宮崎公立大学、熊本大学)の専門家を迎えて「みやざきインフラモニタリング研究会」を立ち上げる、と6月30日の九州版の日経が伝えた。ここでは老朽化したインフラの損傷を早期に発見する技術の実用化を目的とし、橋梁や道路にセンサを取り付け、揺れや地盤沈下の状況を通信回線で把握する。亀裂やひび割れの兆候が起きた場合は素早く対応できる。

センサに信号処理回路とトランシーバを搭載したIoT端末をエネルギーハーベスティングにより動作させる製品をアルティマが開発、8月からサンプル出荷する。ここでは色素増感型太陽電池と蓄電するリチウムイオン電池を電源として使い、屋内の温度や湿度、照度などを測定する。このIoT端末を環境計測センサと名付け、複数のセンサからのデータをゲートウェイに集め、インターネット上のサーバーに送信する。

パナソニックは、ウェアラブル機器をスポーツ選手に装着し、心拍数や歩数などの生体情報を蓄積・可視化するサービスを7月中旬に始める、と3日の日刊工業新聞は伝えた。米ベンチャーのVital Connect社の端末を胸に張り付け、データの蓄積や処理にはクラウドを利用する。1チーム10選手が利用する場合の年間サービス料は21万6000円から。

IoT端末からのさまざまなデータを収集・処理するデータベースソフトウエア「HANA」の最新版をSAPジャパンが発売したと、3日の日経産業新聞が報じた。IoT端末からのデータを収集し蓄積するストレージのデータベースと、HANAを同期する機能を追加した。SAPジャパンはデータ分析ソフト「プレディクティブ・アナリティクス」の最新版も発表した。データ処理にHANAと組み合わせることで、データ間の相関関係を解析する時間が、従来の数ヵ月から数時間に短縮できるとしている。

デジタルサイネージでは、大日本印刷とミライト社が共同で、公衆Wi-Fi機能の付いた電子看板「PONTANA(ぽん棚)」を開発した。これは、電子看板の画面上に表示した書籍の表紙部分をタッチすると、ユーザーのスマートフォンなどの電子端末に本を閲覧・購入できるというもの。大日本は2015年内に電子書店「honto.jp」のサービスを開始する。ミライトはこの電子看板をこの夏に発売する。Wi-Fi設置オーナーにとって新しい収入源となる。

(2015/07/06)

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