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研究開発投資がリーマンショック前に回復

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研究開発投資がリーマンショック前にピークだった2007年とほぼ同じ金額に回復しそうだ。5月8日の日本経済新聞は、日立製作所が2016年度以降の研究開発費を15年度見込みよりも3割多い5000億円/年にすると報じた。国内電機にようやく攻めの投資が始まった。

日立がライバルとして見る米GE(General Electric)やドイツのSiemens(シーメンス)は、2014年度にそれぞれ52億7300万ドル(6300億円)、41億ユーロ(5500億円)を投じた。日立はこの2強に匹敵する研究開発投資レベルに引き上げ、生き残りを図る。日立は、ビッグデータ解析などのITと、鉄道や水道、エネルギーなどのインフラ事業を融合した新ビジネスの開拓を進めているとして、人工知能やセンサ、ロボット、セキュリティなどへの開発投資を3倍に増やすとしている。

この日経の報道記事からは日立がただ単に、GEやシーメンスの後を追いかけているだけのように見え、日立の投資に対する理念が見えてこない。GEはインターネットを利用した新しいビジネスモデル、Industrial Internetを、シーメンスはより高度なモノづくりを行うIndustry 4.0を、それぞれ提唱している。いずれも低コストで利益を生むための仕掛けである。日立は投資に対してモノづくりをどのように改善していくのか、この記事からは読み取れない。

ただ日立の動きは日本のモノづくりにとって、研究開発投資レベルがリーマンショック前に戻ったことを意味しており、日経が5月1日までに研究開発費の計画を開示した主要35社の集計を見積もったところ、15年度は前年度6%増の2兆7500億円と、2007年の金額並みになるとしている。

研究開発や工場投資額を反映しているキーエンスの業績にも、設備投資の影響を示している。同社は工場自動化に向けたセンサや研究開発用の測定器を手掛けているが、国内でこれらが伸び、過去最高の業績を示した。2015年3月期(2014年度)の連結決算では、売上額は前年度比26%増の3340億円、純利益は同41%増の1210億円だった。この内、売上額の海外比率は前年度の45%から51%弱にまで上がった。世界各地の工場において人件費が高騰したため、これに対処するため自動化比率が上がったことによる。特に、本業のもうけを示す営業利益が1757億円と売上額に対する比率は53%と極めて高い数字となった。 研究開発用のレーザ顕微鏡や設計用の3Dプリンタ、物流倉庫などでのバーコードリーダーなど付加価値の高い新製品が伸びた。

カーエレクトロニクスでの動きもあった。電気自動車専門メーカーの米Tesla Motorsは、家庭やビルなどに使う据え置き型の蓄電池を8月に発売すると2日の日経が報じた。流線型のデザインで、最大の特長は価格であり、10kWモデルで3500ドルと標準的な蓄電池の価格の半分だという。この蓄電池の中に、熱制御やDC-DCコンバータなど全ての制御回路が入っている。TeslaのCEOであるElon Musk氏は、発表会の席上において、これまでのソーラーパワーを補完する形でこの蓄電池があると述べている(参考資料1)。ソーラーは昼間しか発電しないため、夜間の電力を蓄電池で賄い、両方を使うことで昼夜の変動を減らす。面積的には、ソーラーが広大な面積を使うのに対して、蓄電池はわずかな面積しか使わないことを強調している。

また、日産自動車・ルノーグループは、2020年までに電気自動車の航続距離を現行の2倍にあたる400km以上に引き上げると、6日の日経が報じた。日産が開発しているバッテリだけではなく、外部からもバッテリを購入する可能性があるとしている。

11日の日経産業新聞は、車載カメラに関する解説記事を掲載した。車載カメラはアラウンドビューモニターやドアミラー(参考資料2)、前方車との距離測定などに使われるとして、富士キメラ総研は、2025年には13年の5倍以上の3609億円に成長すると予想している。

最後のニュースとして、シャープが1200億円以上の資本金を1億円に減資すると9日の日経が報じた。99%以上の資本金を借入金の返済に回し、累損を大幅に減額させる。15年3月期も2000億円の最終連結赤字が見込めるとしている。減資はあくまでも帳簿上の操作であるが、業績回復後の増資などでは株は希釈化されるため、多くの株主にとっては今後、不利益となる可能性はある。1億円残しているため、まだ紙屑ではない。1億円だと中小企業とみなされるため法人税率が下がる。シャープはまさに崖っぷちに立たされている。

参考資料
1. Tesla Energy Event (2015/04/30)
2. 「クルマのドアミラーはもう要らない」 (2014/05/22)

(2015/05/11)

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