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Appleが本気でクルマEVを作るとしたら

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先週、大きなニュースが二つあった。一つは、Appleが電気自動車(EV)を2020年までに生産を始めるというニュースであり、もう一つは大日本印刷がナノインプリントリソグラフィ技術の「型(テンプレート)」の量産を2015年中に開始するというもの。AppleのEV製造は、Tesla Motorsのライバルになることを意味する。

AppleがEVを製造するという「うわさ」はこの1週間、さまざまなメディアが流していた。13日にはタイタンと呼ぶプロジェクト名や、ミニバンになりそうだという話、数百名規模で開発しているという話などをWall Street Journalはもっともらしく流していた。これを受けて、どうやら本物だと確信した、日経産業新聞は19日に、それをWSJの記事として紹介していた。

ここ数ヵ月の間に、Appleのスタッフはクルマやクルマ用部品を製造する受託メーカー数社と接触していた。その1社の名前は、Magna Steyr(マグナ・ステイヤー)社であり、この会社はこれまで、メルセデスやBMWなどのクルマを組み立てたことがあるとしている。Apple がEVを手掛ける理由は、次のめしのタネに違いない。Googleは、自動的に地図を作るための道具として自動運転車グーグルカーを設計したが、その目的は自動運転車を作ることではなく、地図を描くことである。車体は既存のプリウスなどを利用していた。

Appleはフォードの退職者を経営層に雇っており、数年前、英国のクルマメーカーJaguarと、XFセダンの制御部分に関して共同開発したこともある。クルマ分野への関心は極めて高い。では、Appleはクルマメーカーになるのか?まだ結論は早いが、その可能性は高くなった。Appleは、iPhone 5を発売した頃、地図情報に不満が続出した経験がある。グーグルカーのように地図を作る目的でAppleはクルマを開発するか?ノーだろう。地図はAppleにとって最優先課題ではないからだ。

EVにはすでにTesla Motorsという先駆者がいる。では、AppleはTeslaの二番煎じをするのか。それも違うだろう。Appleには、2014年末時点で600億ドル(7兆円)もの営業キャッシュフローがある。もし、Appleがクルマを本業としてビジネスにするならば、ただ単に車を設計、受託メーカーに製造を依頼するだけのファブレスにとどまらない。

App Storeのように、例えば「CarPlay」とでもいうべきアプリのサービスサイトを作り、運転者を支援するようなビジネスモデルを追加するだろう。さらに、中古車市場や新車の流通に関しても、Appleらしさを打ち出すビジネスモデルを創出するに違いない。トヨタは、G-Bookと呼ぶテレマティックスサービスを展開、昨年T-Connectに発展させたサービスを発表した。AppleらしいクルマのITサービスは何か。ここにAppleのEVビジネスのカギがあるに違いない。

もう一つのニュースである、大日本印刷(DNP)のナノインプリント原版は、20nmプロセスに向けたもの。20日の日経産業は、NANDフラッシュメモリ製造の向けた準備と捉えている。実際、NANDフラッシュメーカーの大手、東芝はキヤノンと共同でNANDフラッシュ用にJ-FILと呼ぶナノインプリント技術を開発している。DNPは東芝にまず売り込むことは間違いない。

ナノインプリントリソグラフィは、複雑な光学系装置の要らない、いわゆる「ハンコ」方式でレジストパターンを描く技術。今回、量産を開始する製品はマスターテンプレートと、それを原版として作製する複製型(レプリカテンプレート)である。DNPは、「マスターテンプレートの作製に『高解像度描画装置』を導入すると共にその装置や製造プロセスの材料や条件の見直しを行い20nmレベルのパターン形成技術を確立した」、とプレスリリースで述べている。ナノインプリント技術は、微細なパーティクルや「ゴミ」があれば、致命的になるため、テンプレート、レジスト共に、非常に高いクリーン度が要求される。DNPは、さらに2017年までに15nm以下のテンプレート製造実現に向け開発を進めるとしている。

(2015/02/23)

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