セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

スマホの追い風に乗れた企業が好調

|

台湾トップのファブレス半導体、MediaTekの業績が好調だ。2月10日に日本経済新聞が掲載した同社の2014年12月期の業績は売上額前年比57%増、利益同69%増と過去最高を記録した。昨年、同じく台湾のファブレスM-Starを買収した効果も含まれている。

昨年は中国の小米科技をはじめとする新興スマホメーカーの台頭によるビジネスチャンスをうまく捉えたことが好調の主因。2015年は4G(LTE)への対応を急ぐ。MediaTekの謝清江総経理の談話として、スマートフォン用のICチップの総出荷量は4.5億個、内LTE対応製品は2014年の5倍にあたる1.5億個を超える、と日経は伝えている。

今や微細化をけん引するアプリケーションは、スマホ用のアプリケーションプロセッサになった。数量の点でFPGAやx86アーキテクチャのプロセッサをもはや抜き去っている。同じく台湾のファウンドリTSMCは、対中の中部サイエンスパークの工場を持っているが、ここを拡張する。16/14nm FinFETプロセスの次となる10nm製品を生産するもようだと10日の日経産業新聞は報じている。15年に115〜120億ドルという大きな投資を行うとすでに発表している。

スマホ用半導体メーカーの好調さを受けて、半導体製造装置大手7社の4~12月の最終損益が改善していると、13日の日経が報じた。後工程で切断装置が伸びた東京精密の純利益は前年同期比58%増の65億円、ディスコは自動車やデータサーバーの伸びも採り入れ6割の増益となったという。ディスコはウェーハを切る刃(ブレード)消耗品販売も利益率の改善の要因になったとしている。

液晶で大きく伸ばしたのがジャパンディスプレイ。10〜12月期の売上額は前年同期比55%増の2511億円と過去最高額を記録、利益も同2.8倍の191億円と改善した。Appleだけではなく、中国の小米からの受注を獲得したことが大きい。これまでシャープが小米に納入しており、重要な顧客を同じ日本勢にとられたため、10〜12月期のシャープの液晶事業は、同55.9%減の114億円に落ち込んだ。シャープは液晶事業を立て直すため、車載用などB2B向け比率を2014年度の15%から21年度までに40%に引き上げる方針だとしている。

シャープと同様、民生市場に力を入れてきたパナソニックも、B2B市場へのシフトを進めているが、その成功事例を16日の日経産業新聞が伝えている。ニューヨーク市のタイムズスクエアにはナスダック証券取引所の円柱系のビルがある。この液晶装置システムの更新プロジェクトにパナソニックの北米子会社パナソニックエンタープライズソリューションズ社が成功したという。液晶パネルこそは他社製だが、このプロジェクトでは、契約交渉やファイナンス、資材調達、保守などプロジェクト全体の運用という「黒子役」に徹したことが大型受注につながった。黒子役こそ、B2Bビジネスの基本中の基本。自社の「ブランド」を捨てる割り切りが求められる。パナソニックやシャープがB2Bでブランドを捨てOEM向けの部品・システムメーカーになり切れるかどうかが、今後のビジネス成功のカギを握る。

今朝の日経「大学」欄で、工学系・理工学系志願者数が増加しているグラフを掲載している。2007年までは志願者は確実に減っていた。2007〜2009年を底にして、志願者は着実に増えている。1〜2年までの教養課程で、学生の進学希望学科を振り分けるが、人気の高い学科はロボットや宇宙航空、生命工学など。電気・電子系はどん底時代に定員割れをおこしたが、最近再び人気を集めている、とある教授は語っている。

(2015/02/16)

月別アーカイブ