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IoTがキーワードとなったInternational CES

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新年早々の大きなイベントが米国ラスベガスで開催された。新聞各社はInternational CESからの話題を採り上げている。日本の電機メーカーを取材すると4K、8Kと言った高精細のテレビの話題が飛んでいるが、大きな流れはやはりIoT(Internet of Things)のようだ。

QualcommはAllJoynと呼ぶ、ピアツーピア(P2P)の規格を推進しているが、さまざまなデバイスをつなぐ規格でもあり、IoTにつなげていくことを目標においている。1月8日の日本経済新聞は、Electroluxの冷蔵庫と、Lifix社のLEDランプ、LG電子のスマートウォッチを連携させて使うデモについて述べている。AllJoynは、さまざまなOS同士でも接続できるインターオペラビリティを確立し、フレキシブルで使いやすいAPIを使ってIoTを短期間に開発する基本ソフトウエアである。AllJoynで動作するデバイスが、同じ規格のデバイスを簡単に見つけ、接続する。AllJoyn規格は標準化団体AllSeen Allianceが策定している。

同じ紙面で、IntelはGEらとOpen Interconnect Consortiumを発足させたと報じているが、このコンソーシアムもAllSeenと同様、さまざまなIoTを接続するための標準化団体。ダイアモンド会員として、Intelに加え、GE Software、Cisco、MediaTek、Samsungの5社が名を連ねている。CESでは、どうやら、IoTをつなげるための規格争いが始まったようだ。やはり、キーワードはIoTである。

ロームは昨年、Wi-SUNという無線通信モジュールBP35A1をサンプル出荷したが、このほど量産とインターネット販売を開始したとプレスリリースを通じて発表した。7日の日経産業新聞が報じた。狙いはもちろん、IoTである。Wi-SUNは1対Nのネットワークを制御する規格で、家庭やビルディングの電力量データをまとめるゲートウェイのようなHEMSコントローラからのデータを受けて、スマートメーターからインターネットへデータを飛ばす。この通信モジュールはWi-SUNのプロトコルに沿ったデータをインターネットに飛ばす役割を果たす。

国内では、正月休みが終わり、各社のトップインタビューもある。東芝社長の田中久雄氏は、6日の日経産業において、東芝はIoTのハードウエアで強いため、ソフトウエアを強化しIoTと組み合わせて新しい価値やビジネスを生み出せるかが重要だと述べている。さらに、IoTで東芝よりも進んだところとの提携も考えているとする。富士通社長の山本正巳氏は、IoT端末を多数使うIndustrial InternetあるいはIndustry 4.0に対して、8日の日刊工業の中で次のように述べている。「世界標準の場に顔を出すとともに、自社工場で富士通版のIndustry 4.0にトライして成功例を出す。欧米で同4.0のインターフェースが決まってもカスタマイズ(個別対応)が必要」。

また、製造業の国内回帰も始まった。「シャープの高橋興三社長は6日、為替の円安を受けて家電製品の生産を海外の工場から国内に移す考えを明らかにした」と7日の日経は伝えている。どの製品を移すのか、生産品目に関しては物流コストや採算を考えて決めるとしている。TDKは中国で生産中の部品の一部を国内に移す。これは7日の日刊工業がTDK社長の上釜健宏氏を取材し、報じたもの。TDKはスマートフォンや車載向けの部品を中国で生産しているが、品質が強く求められる車載部品を対象にしているようだ。中国での生産は一般に、従業員の定着率が安定しない、人件費が高騰している、などの問題があり、品質確保に不安を残す。

国内生産の事例として、有機ELの新会社JOLEDが始動したと6日の日経が報じた。この会社は、ジャパンディスプレイとソニー、パナソニック、産業革新機構が設立した、有機ELパネル開発会社。有機ELは大型パネルの低コスト化が難しく、Samsungがテレビ用は断念し、LGだけが開発を続けている。有機ELの中小パネルは携帯電話などで韓国勢がすでに実績を積み上げており、日本の新会社はどう差別化できる製品を生み出せるかが成功のカギを握る。

(2015/01/13)

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