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台湾・韓国の半導体ビジネスを狙う国内製造装置

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台湾・韓国を巡る半導体ビジネスが活発になっている。ファウンドリのTSMCはQualcommが持っている桃園県のディスプレイ工場を買収すると発表、EMS(製造専門の請負メーカー)の鴻海精密工業はスマートフォン用の中小型ディスプレイ工場を建設すると発表した。Samsungは次世代のiPhone/iPad向けアプリケーションプロセッサの生産でAppleと合意したとKorea Timesは伝えている(参考資料1)。

TSMCが台湾北部にある桃園県のディスプレイ工場を8500万ドルで買収することを20日の日本経済新聞と21日の日経産業新聞が伝えた。TSMCはこの工場を半導体の後工程・検査事業として使うとしている。TSMCは2.5次元や3次元実装技術を確立しており、その生産工場という位置づけになりそうだ。いよいよ3次元ICの出番が来たといえる。

鴻海精密は、液晶パネル工場の建設に、傘下の群創光電と共同で800億〜1000億台湾元(3040〜3800億円)を投じる。新工場は、群創が台湾南部の高雄市に持つ既存工場の敷地内に建設し、第6世代と呼ばれるガラス基板を使い中小パネルを生産する。低温ポリシリコン技術を採用し、高精細画面を目指す。2016年下半期の量産を見込む。生産能力は明らかにしていないとする。

日本の製造装置メーカーにとって台湾のTSMCをはじめとするファウンドリや韓国のSamsungは顧客であり、これらの地域は半導体製造装置にとっては成長できる市場である。京都の魁半導体はプラズマ発生装置のアジア事業を強化するため、韓国の日系現地商社のNPMKと総代理店契約を結んだ、と18日の日刊工業新聞は伝えた。さらに中国と台湾の複数の現地商社とも12月中に代理店契約を締結する予定だ。プラズマ発生装置はCVDやスパッタ、エッチングなどに使われ、大型需要に期待している。2015年7月期に海外売り上げ2〜3億円を見込む。

ナノシステムソリューションズは本社を東京から沖縄県うるま市に移す、と日経(地方版)が報じた。沖縄を拠点として半導体製造装置や検査機器を台湾や韓国に輸出する考えだとする。ナノシステムは、1µmパターンを描くことのできるマスクレス露光システムや、ウェーハIDリーダーを製造する、2004年設立のベンチャー企業。パターン間隔1µmの性能は、半導体パッケージ基板用やMEMSなどの加工に向く。

半導体製造は国内メーカーが撤退するため、装置メーカーは海外へ進出せざるを得ない。京都の大手製造装置メーカーのSCREENセミコンダクターソリューションズは、ベルギーのIMECと先端の洗浄技術で提携する。最新の枚葉式洗浄装置をIMECに設置し、次世代半導体技術を共同開発する。IMECには世界各地の半導体メーカー、装置・材料メーカーなどとパートナーシップを結んでおり、今回の提携は海外へ売り込むステップにもなる。

日立ハイテクノロジーズは先端半導体の評価装置を使った研究開発センターをひたちなか市に開設した、と25日の日刊工業は伝えた。「メトロロジー アンド インスペクション センター(MIC)那珂」と呼び、海外にある日立ハイテクグループ各社が24時間アクセス可能なITシステムを構築し、開発期間を短縮できるようにしているという。

17日のKorea Timesによれば、2016年から供給するApple向けのアプリケーションプロセッサA9をSamsungが80%、TSMCが20%生産するという。SamsungはAppleのプロセッサのセカンドソースとしてGlobalFoundriesとパートナーシップを組んでおり、生産能力の確保に努めている。SamsungはそのA9に使う予定の14nmFinFETプロセスを、あるユーザー向けのカスタムLSIで完成させており、サンプル生産を始めているらしい。

参考資料
1. Samsung strikes chip deal with Apple (2014/11/17)

(2014/11/25)

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