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パナソニック、遅ればせながら欧州ティア1買収でADASに参入

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今月2日、ルネサスエレクトロニクスは東京で開いた開発者会議DevCon 2014において、クルマの将来を見せたが(参考資料1)、パナソニックにも影響を与えたようだ。パナソニックは欧州のティア1サプライヤ、フィコサインターナショナルを買収する、というニュースを日本経済新聞と日刊工業新聞が報じた。

パナソニックはこれまでの経営方針として、民生用からクルマと産業用、住宅用にシフトしていく、と述べてきたが、クルマ用途では旧三洋電機が米国の電気自動車メーカーのTesla Motorsにバッテリパックを収めていた程度の応用にとどまっていた。このバッテリパックは、単3乾電池に近い大きさの18650型をズラリと敷き詰めたものを基本としている。

クルマ産業の中でもADAS(先進ドライバー支援システム)が最近注目を集めているが、その延長に自動運転車がある。その将来を見据えて今回、パナソニックは、自動車用のミラーに強いフィコサを買収することで、これからのドアミラーレスや液晶バックミラーなどADASシステムの一環となる動きに追いつき追い越そうと狙っている。パナソニックはADASシステムでは、ルネサスなどのメーカーに比べてかなり遅れていた。26日の日刊工業によると、松原健パナソニックAIS理事のコメントとして「業界で周回遅れ」と表現している。

25日の日経は、この買収では来年5月までに株式の5割弱を200〜300億円で取得する予定だと伝えている。フィサコはミラーや画像認識技術で強く、パナソニックはカメラやソナー技術に強いと言う。両社の技術を組み合わせれば、ADASシステムは可能になる。ただし、その場合にはシステムLSI技術が不可欠で、マルチコアCPU、マルチコアGPU、コーデック、画像座標変換技術などを持っていなければADASシステムを作れない。これらのIP技術をさっさと購入し、OSやミドルウエアを含めたソフトウエア技術も購入する覚悟が求められる。

自動車メーカーは半導体から見ると、半導体製品の品質や信頼性の高さに加え、製品生産の長寿命化などが高性能・低消費電力と共に求めているが、半導体製品の認定期間が長いという特徴もある。このため、カーエレクトロニクスは国内半導体に向いた市場ではある。しかし、AudiやBMWなど最新技術をいち早く導入する自動車メーカーが、カーエレ技術を牽引してきており、開発期間の短さも求められるようになっている。

26日の日経産業新聞では、デンソーの3期ぶりの減益が報じられた。デンソーはこれまでは自前主義で開発してきたが、それに対する反省が述べられている。自前主義から外部企業との連携を進めていると報じた。昨年末にドイツ南部の中小企業に出資したり、シャープとの資本提携、ECU部品の故障診断ソフト会社を買収したりするなど、積極的に外部を利用する方向に変わってきた。ティア1サプライヤのドイツのロバートボッシュが買収により幅広い技術を手に入れたことが刺激になっている。日経産業では、デンソーの加藤宣明社長が「安全分野は黎明期で、早く動くことが重要」と述べている。

自動車用のインバータが最終ターゲットとなるSiCトランジスタ向けに昭和電工がそのウェーハを量産している。表面欠陥密度を0.25個/cm2と従来製品より半減させた、6インチSiCウェーハの月産能力を1100枚に増強したと日刊工業が報じた。10月から出荷を始めるが、自動車用にSiCトランジスタが入る時期はまだ早い。SiCの最大のメリットは電力損失を減らせ、モータの回転数を自由に変えるためのインバータを小型にできること。消費電力を減らせるデータセンターの電源にSiCはこれから入り始め、電車のインバータなどに使われ始めている。ただし、トランジスタは電車に使われ始めたばかりで、スイッチング時に電荷を素早く逃がすためのショットキダイオードが多く使われている。

スマートフォン関連で見逃せないニュースが1件あった。Intelが中国におけるアプリケーションプロセッサメーカーのファブレスSpreadtrumに90億元(1600億円)を投じて、20%出資する、と27日の日経が報じた。Intelと共同開発し、2015年に売り出すという。IntelはアプリケーションプロセッサをかつてMarvelに売却、携帯電話用のプロセッサ市場を逃したという苦い経験がある。このトラウマにより、アプリケーションプロセッサという名前でさえ毛嫌いしてモバイルプロセッサと言い換えているくらいだ。世界最大のスマホ市場の中国でSpreadtrumと共にアプリケーションプロセッサの再起を図る。

参考資料
1. ルネサス、独自イベントDevConを開催、実力を示す (2014/09/03)

(2014/09/29)

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