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ルネサス、4四半期連続、営業黒字を拡大中

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先週はエレクトロニクス、半導体などの企業の決算が続々発表された。ソニーやパナソニック、シャープなどは、リストラによって工場や人員を削減した効果が出てきている。この結果、黒字への転換を達成したものの、今後の成長に向けた施策は抽象的な段階からはまだ脱し切れていない。ルネサスは4四半期連続営業黒字の拡大を続けている。

ソニーは「VAIO」ブランドのパソコン事業を投資ファンドの日本産業パートナーズに売却し、テレビ事業を分社化する、という再建策を発表した。このリストラに伴い5000人を削減する。グループ全体の従業員は約14万6000人。国内で1500人、海外で3500人の計5000人を減らす。一連の構造改革に伴う費用の計上を含め、2014年3月期は1100億円の連結赤字になる見込み。

ソニーはスマートフォンと、ゲーム、画像センサーを成長の3本柱と位置付けているが、スマホはゲーム機を食いながら成長するというカニバリズムを伴っているため、ゲームが成長の柱になりうるのか、疑問視する向きはある。平井一夫氏は、社長就任直後の12年4月に1万人の削減を発表、13年3月期の黒字転換を図ったが達成できず、14年3月期も黒字を見込めない状況になっている。VAIOの売却は苦渋の決断だと表現するが、時代はパソコンからモバイル端末へと動いており、売却は当然と言える。

パナソニックとシャープの2013年4〜12月期の連結決算は、そろって3年ぶりに最終黒字に転換した。パナソニックは、前年同期の純損益では6238億円の赤字だったが、今回2430億円の黒字になった。特に、車載、住宅、白物家電が好調で、純利益は過去最高だとしている。半導体事業では、第3四半期(10〜12月)に円安と、カーナビなど車載向けで収益は、前年同期よりも赤字が28億円減り、改善した。それでも、54億円の営業赤字を計上した。半導体事業は分社化する予定(参考資料1)。

シャープの2013年4〜12月期の連結最終損益は、177億円の黒字となった。前年同期は4243億円の赤字だった。売り上げは前年同期比21%増の2兆1572億円となり、2014年3月期の通期での営業損益は前年の1462億円の赤字から1000億円の黒字に転換する見通し。有利子負債の増加による支払利息などを考慮した最終損益は50億円の黒字を予想している。

ルネサスエレクトロニクスは、2013年4〜12月期の連結決算において、営業損益が506億円の黒字に転換した。鶴岡工場の資産売却に関して164億円の特別損失を計上したが、LTEモデム事業(ルネサスモバイルが担当)をBroadcomに売却した時の特別利益155億円と相殺した格好となった。自動車用や産業機器向けの半導体が好調である。通常、第3四半期の売り上げは、季節的な要因により第2四半期よりも減少するが、今回、前四半期並みのレベルを確保した。


図1 ルネサスは黒字幅を4四半期連続、拡大している 出典:ルネサスエレクトロニクス

図1 ルネサスは黒字幅を4四半期連続、拡大している 出典:ルネサスエレクトロニクス


2014年3月期(2013年度)の通期見通しでは、営業損益が前年度の赤字から今期は547億円の黒字を見込めるようになった。為替の影響があるとしても黒字は確保できるとしている。なお、通期の純損益は、早期退職優遇制度や事業改革関連直で748億円の特別損失を計上することにより、218億円の赤字になる見込み。営業損益を見る限り、2012年第4四半期から2013年第3四半期まで4期連続黒字となっており、80億、98億、109億、300億円と黒字は少しずつ増加し続けている(図1)。

ルネサスは、リストラをほぼ終え、車載マイコンを強めると同時に、40nm開発品が揃ってきたという。「デザインインを通して信頼を勝ち得ていく」(同社取締役執行役員常務兼CFOの柴田英利氏)と攻めの姿勢に転じ、研究開発費を強い分野に集中配分すると同時に、今後IoT(Internet of Things)市場をコアにしていく、と述べている。ルネサスは、グレープフルーツのボルタ電池を電源として動作する、超低消費電力マイコンRL78シリーズを持っているため、IoTやワイヤレスセンサネットワークの市場を強化できる。

参考資料
1. パナソニック、半導体事業を完全子会社化 (2014/02/05)

(2014/02/10)

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