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Intel、ファウンドリ参入を正式表明、先端技術でサービスへ

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Intelがファウンドリビジネスに参入することを正式に表明した。11月23日の日本経済新聞が伝えたものだが、米国時間21日にIntelは事業説明会を開催した。11月24日の日曜日には、東北大学を中心にMRAM開発を日米共同で開発するというニュースを日本経済新聞が報じた。久しぶりに半導体で大きなトピックスが続出した。

図1 Intelがファウンドリサービスを正式表明 出典:Intel

図1 Intelがファウンドリサービスを正式表明 出典:Intel


Intelがファウンドリビジネスに乗り出すことを表明したのはこれが初めて。これまではファウンドリの顧客となるFPGAメーカー数社がIntelをファウンドリとして使うことを発表していただけにとどまっていた。今回、Intel CEOのブライアン・クルザニック氏は、「幅広いカスタマ向けにファウンドリサービスを行う」と述べた。

Intelの事業説明会ビデオ(参考資料1)を見ると、同社の方針は一つのメッセージで表している。それは、「計算するなら、Intelはベストなものを提供する」という方針であり、このベストなものの中に製品だけではなく、システムやファウンドリサービスまでも含んでいる。

ファウンドリに対しては、「Si上にベストな回路を集積したい企業がいれば、それを実現する」とも述べている。Intelはファウンドリサービスを誰にでも提供すると述べたが、Alteraに先月取材した時は、「競合する他のFPGAメーカー(XilinxやLatticeなど)に対して、14nm FinFETプロセスは独占契約(エクスクルーシブ)であり、先行しているTabulaなどのベンチャーには適用されない」と述べている(参考資料2)。Intelのメッセージは、Alteraのメッセージと矛盾するように思えるが、独占契約が14nm FinFETプロセスに限定していると理解すれば矛盾はしない。Intelは2015年には10nmプロセスの準備が出来ているとも述べている。

もう一つ、同氏のメッセージは、「IoT(Internet of Things)からデータセンターまで、コンピューティングの端から端まで市場を常にセンシングする」ということである。データセンター応用はこれまでも実績がある。データセンター市場は2016年までに年平均15%で成長すると見ている。その根拠は、データセンターがビッグデータのインフラ、SDN(Software Defined Network)などの市場に拡大するからだという。PC向けも実績があるが、PC向けの製品ではなく、PCエクスペリエンスを重視するとしている。PCはここ1年くらい成長率がマイナスになっているが、2013年第4四半期にはほぼ横ばいに戻ると見ている。さらに、モバイルコンピューティング(タブレットにもなるコンバーチブルPC)、IoT(参考資料3)などにIntelプロセッサが広がると期待する。このために、XeonからCore、Atomなど全てのCPUコアを利用するプロセッサやSoCを提供していく。

もう一つ、週末をにぎわしたニュースとして、24日(土)の日経は第1面トップで「日米で次世代半導体、マイクロンなど、20社超参加、DRAM置き換え、量産技術16年度めどに」という見出しの記事を載せた。

これは、Micron Technologyや東京エレクトロン、信越化学工業、ルネサスエレクトロニクス、日立製作所など20社超がMRAM(スピントロニクス利用の磁性体メモリ)を共同で開発するというニュースである。東北大学が「国際集積エレクトロニクス研究開発センター」を27日に開設、同大の遠藤哲郎教授がセンター長を務めると同時に、このプロジェクトリーダになる。各社が東北大に研究者を派遣して開発を進めるというもの。なぜか、文部科学省ではなく、経済産業省が研究費用面で支援するとしている。

MRAMは、ReRAM(抵抗変化メモリ)やPCRAM(相変化メモリ)などと並んでストレージクラスメモリと呼ばれている。これらのメモリの位置づけとして、HDDやNANDフラッシュなどのストレージメモリと、DRAMとの間の速度差を埋めるメモリとして、データセンターでの要求が強い。ただし、DRAMと比べて、メモリ間の干渉の程度や製品バラつきなどの商用化するうえでの課題は多い。

経産省が資金を提供するが、メモリはしょせんコモディティ製品であり、いずれ韓国が数量にモノを言わせてやってくる分野である。また、日米とはいうものの、実際に製造するMicronの広島工場は旧エルピーダの工場であり、オールジャパン構想から抜け切れていないように思える。期待は大きいが、問題は山積している。

参考資料
1. IntelクルザニックCEOの事業説明会ビデオ
2. Altera、14nm FinFETプロセス採用の初SoC製品Stratix 10を発表(2013/10/30)
3. IntelがIoT分野に参入、セキュリティ重視のハイエンド市場を開拓(2013/11/18)

(2013/11/25)

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