モトローラの179ドルスマホ、性能・画面サイズを高級機並みに
モトローラ・モビリティが179ドルのスマートフォンを発表した。スマホは、ハイエンドからローエンドまで製品の広がりを見せており、世界各地の特性に合わせた仕様の機種が出てくるようになる。先週のニュースではTDKのスマホ向け部品の好調さ、最先端ではLTE-Aのアンテナ本数を減らす実験、iPhone 5sの分解などスマホ関連ニュースが目白押しだ。
2012年にグーグル傘下に入ったモトローラ・モビリティは、Moto Xというハイエンド機種を8月に発売していたが、今回はローエンド機種。機種の市場に合わせて、発表場所まで変えたと11月15日の日経産業新聞は伝えている。ブラジルのサンパウロ市での発表会場の壇上に立ったモトローラCEOのデニス・ウッドサイド氏は、低価格だからといって旧機種や低機能の機種を出す訳ではなく、市場の要求に合わせた設計となっているという。今回の新製品Moto Gでは、性能(クワッドコアのクアルコム製アプリケーションプロセッサ)とディスプレイ(4.5インチ)の大きさは高級機並みながら、低価格にするためカメラとLTE機能を妥協している。
中国市場では、スマホの新興メーカーが相次いで登場している。TDKは5社くらい台頭していることを把握しているが、「このうちの2社とは以前はほとんど取引がなかった」と14日の日経産業で述べている。TDKはスマホ向けのSAWフィルタで売り上げを大きく伸ばしたとしている。特にLTEは世界各地で周波数帯、そのサブキャリヤ周波数帯などの組み合わせで40以上の規格が乱立している。各地の周波数の違いに合わせてSAWフィルタで周波数帯域を絞り込むため、1台のスマホに複数個のフィルタが使われる可能性がある。TDKはLTEの普及に大きな期待を持っている。さらにハイエンドのスマホのカメラには一般のデジタルカメラで使われているような自動焦点レンズが使われるようになる。これを動かす小型モーターも必要とされるが、TDKはこのモーターにも期待している。
現在最先端の通信ネットワークはLTEであるが、LTEの先はNTTドコモがかつて第4世代と呼んでいた技術がやってくる。今はLTE-Aと呼ばれており、ドコモは基地局アンテナ1本で1.2Gbpsのデータ伝送実験に成功した、と14日の日経産業が報じた。これはLTEの112Mbpsの約10倍の速度。これまではMIMO(multiple input multiple output)アンテナなど複数のアンテナを使って感度を保証してきたが、1本で済むならコストを抑えられる。少し前まで、LTEの次はLTE-Advancedと呼ばれていたが、最近は、LTE-Aという言い方に変わっている。さらにその先にはLTE-Bという規格が待ち受けている。
アップルのiPhone 5sの心臓部品である、新しい64ビットアプリケーションプロセッサA7は、サムスンの工場で作られたものだという結論を13日の日経産業が伝えた。サムスンの28nmプロセッサ「Exynos 5410」に用いられている素子と同様の構造が見られたとして、サムスンの28nm技術で製造されたものと推定しているという。この調査は、日経エレクトロニクス編集部と外部エンジニアが解析したもの。アップルはサムスンと特許争いを展開しているため、サムスン製の部品の採用を減らしてきた。A7はサムスンからTSMCへファウンドリが移るのではないか、という推測があったが、32ビットから64ビットアーキテクチャへ大きく変更したため、設計からマスクを起こすまでに数年を要したはず。このため、おそらくはファウンドリの変更は間に合わなかったのではないだろうか。次の「A8」プロセッサはどうなるか、さまざまな憶測がネット上を飛び交うに違いない。