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中国製スマホ市場を狙う日本の部品メーカー

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スマートフォン市場の勢力地図が変わりかねない事態が起きている。中国の華為技術(ファーウェイ)とZTEが世界シェアを伸ばすため、日本製電子部品の調達を増やそうとしている。日本製部品は、CEATECで複数社が超小型0201部品を発表したように、小型・高信頼である。世界市場で伸ばすためには日本製部品と、クアルコムやメディアテックのプロセッサが欠かせなくなりつつある。

中国の大手2社は、安いスマホをメインとする中国市場ではそれほど強くないが、世界市場ではシェアを伸ばしつつある。アップルとサムスンの2強を崩すメーカーが両社だと言われている。両社は日本製電子部品の調達金額を2〜3年以内に倍増させると11月8日の日本経済新聞が報じた。村田製作所(ムラタ)のコンデンサや、ジャパンディスプレイの液晶パネルなど日本製部品は中国大手のスマホで実績がある。

それを裏付けるかのように、日立・東芝・ソニーの3社連合で出発したジャパンディスプレイは、華為とZTEへ納入できたおかげで業績が伸び、2013年度以内に上場する方針を固めた(8日の日経)。一方、中小型液晶ディスプレイで2位となっているシャープは、富士通のパソコンやアップルのiPadには供給しているが、スマホ向け液晶の外販実績はまだないという。

部品メーカーでムラタと比べ、やや出遅れ気味のTDKは、中国勢との取引を増やすために、クアルコムやメディアテックの推奨する電子部品のリストに加えてもらうことが近道と見ている(10日の日経)。TDKはフェライト磁性体に強い企業で、コイルやフィルタ、さらにはモジュールでスマホ向けの売り上げを増やす狙いだ。

中国製スマホ向けでは、メディアテックが極めて強い。中国市場が伸びていることと、クアルコムの伸びが少し鈍化していることと関係している。10〜12月期におけるクアルコムの売り上げは前年同期比5〜15%増になる見込みだと同社は発表している。中国市場では安価なスマホが伸びており、比較的高価なアプリケーションプロセッサを得意としてきたクアルコムはこれまでのような高成長が期待できないとする。このため、同社も安価なスマホ向けのプロセッサの開発も進めている。

日本のOEM企業向けの半導体を主体としていたロームはリストラ効果により、2014年3月期は170億円の黒字(前年度は524億円の赤字)になりそうだとの見通しを発表している(6日の日経)。スマホやタブレット、自動車向けが伸びる見込み。現在でも売り上げの6割強が日本企業向けであり、2〜3年後にこの比率を4割に下げるつもりだとしている。ちなみに売り上げは、前年度比9%増の3200億円の見通し。

最後に、米国内に工場を設置する動きが相次いでいる。米国のエレクトロニクス製造業だけではなく、米国外の企業までも米国に工場建設を進めていると6日の日経が報じた。アップルはテキサス州に続きアリゾナ州でも2000人規模の工場を建設する方針を発表、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業も米国向け製品生産のために南カリフォルニアを候補地に工場建設を計画しているという。シンガポールのEMSであるフレクストロニクスもテキサス州に2000人規模の工場を設置したと報じている。いずれの工場もメキシコと国境を接しているような場所を候補とし、生産する製品の出荷先を米国内とする。ヒスパニック系移民などの安価な労働力を使うと見られる。

(2013/11/11)

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