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東芝、ルネサス、パナソニックなどが決算を発表、好調さ見えた

この1週間、大手電機の2013年度上半期(4〜9月)の決算報告が相次いだ。まず東芝は、売り上げが前年同期比13%増の3兆392億円、営業利益が同54%増の1055億円だったと発表した。パナソニックも売り上げが同2%増の3兆7063億円、営業利益は同68%増の1466億円、純利益も1693億円と前年同期の6852億円の赤字から黒字に転換した。少し好調さが見えた。

東芝の利益は、NANDフラッシュ半導体によるところが大きい。特に半導体を含む電子デバイス部門の営業利益が前年同期の4倍に当たる1137億円に拡大した。これは東芝全社の利益をも上回る数字だ。100億円以上の赤字を出した薄型テレビやパソコンなどの不振を補った。年間での電子デバイス部門の営業利益見通しは従来の1300億円から2100億円へと上方修正している。NANDフラッシュはスマートフォンやタブレット、ウルトラブックなどのストレージに使われており、今後はHDDよりも高速というメリットを生かし、金融関係のサーバ/ストレージへの応用も開けている。

ルネサスエレクトロニクスも決算発表を行ったが、上半期の売り上げ・営業利益に関するレポートは新聞からは報道されなかった。同社の発表では、上半期の売り上げは前年同期1.8%増の4169億円、営業利益は前年同期の233億円の赤字から207億円の黒字へと転換した。ルネサスの発表は、リストラ情報しか取り扱わない新聞記事との温度差が激しい。今回のルネサスの発表でこれまでと最も違うところは、デバイス指向の組織であった、「MCU」「SoC」「アナログ・パワー」事業本部から、アプリケーション指向のソリューション事業本部へ変えたことだ。この中を、「車載制御」「車載情報」の事業と、「産業・家電」「OA・ICT」「汎用」の事業で構成する。ここに研究開発としての「イノベーション・インキュベーション」という組織を置いた。加えてグローバル販売を強化するため、元フリースケールジャパンの代表取締役社長であった高橋恒雄氏をCSMO(チーフ・セールス&マーケティング・オフィサー)として任命した。

加えて、自動車の車載情報と産業・家電、OA・ICTをプラットフォームソリューション事業へと変えた。プラットフォームソリューションとは、これまで部品単体や部品キットを顧客に売るのではなく、半導体チップに焼き付けてカスタマイズできるようなソフトウエアも加えて提供する。顧客は、セットの機能や性能を上げることに注力できる。半導体に焼きこむためのソフトウエア開発まで顧客は携わる必要がない。

パナソニックも営業黒字に転換し、下期からは成長戦略への仕込みを本格化させると津賀一宏社長は述べている。これまでの負の遺産ともいうべきプラズマテレビ事業を、今年度中をめどに終息することも決めた。これによりテレビ事業の赤字解消のめどが2015年度には付くとする。プラズマ工場を整理する理由について津賀社長は、「かつてプラズマ事業は1000億円の赤字があった。これを努力してようやく200億円の赤字まで圧縮できた。しかし、これ以上圧縮を進め黒字へ転換させる道筋が見えないため」と述べた。ビジネス的には液晶でも大型化が可能になり、プラズマのメリットが薄まったことも大きい。テレビ事業をやめるのではなく、テレビ事業を再定義し、家電事業という柱の中の1部門という位置づけに変えるのだという。パナソニックはテレビ事業部を企業の大きな柱としていた。

津賀社長は、「パナソニックはモノづくりをやめない。ただ、単純な組立型産業ではもはや日本では無理がある」として、車載、住宅を始め、産業、美容・健康などの分野にシフトし、それらの新産業分野と家電とのかかわりから新しい製品を生み出したいと語っている。クルマ用の電池にはTesla Motors社への電池の供給を始め、5社10車種でバッテリを受注したという。このため、電池事業に対して2013年3月末に計画した130億円の投資に加え、180億円の追加投資を決めた。そのための工場は、既存の拠点や、遊休設備を活用するという。

(2013/11/05)
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