CEATECと、SiCの国際会議がバッティングした先週の話題
10月1日から5日まで国内エレクトロニクス最大のショー、CEATEC 2013が千葉県の幕張メッセで開かれた。残念ながらその規模は年々小さくなっている。話題としては4Kテレビを日経産業新聞も日刊工業新聞も取り上げてはいたが、今一つ盛り上がりに欠けていた。開けてみると、民生機器より部品メーカーのヘルスケア関連を日経産業新聞は採りあげた。
かつて幕張メッセの1〜8ホールと垂直に位置していた9〜11ホールまで占めていたCEATECは、今年の展示は1〜6ホールだけにとどまった。7〜8ホールは自動運転車を走らせる実験場であった。CEATEC 2013の話題として、新聞紙上では開催前から主催者側が薦める4Kテレビや自動運転のクルマなどが目玉として扱われていた。しかし、実際に訪れてみると元気の良い電子部品メーカーが目についた。村田製作所やミツミ電機、アルプス電気、京セラ、NECトーキン、ロームなどがソリューション提案型を活発に行っている。セミコンポータルでもCEATECの記事はこの後もレポートする。
4Kテレビは、まだ放送が始まっていないため、従来のHDフォーマットのフレーム間・フレーム内の補間を行い4K画素相当に変換している。ビデオ映像であれば変換は必要なく、4Kフォーマットで作成したコンテンツを流すことはできる。4KフォーマットをサポートするICは、パナソニックからその前の週に発表された。4Kの解像度を転送できるHDMI2.0の規格に準じている。
10月3日の日経産業は、大手電子部品メーカーがヘルスケア関連機器向けの製品開発に力を入れているというトーンでCEATECを報じた。ヘルスケア機器は血圧や体温、心拍数、心臓鼓動の時間変化などを測定するが、ミツミは加速度センサを用いて歩数、近接・照度センサを用いて血圧を測るといった「無線モーションセンサ」を試作したと伝えている。アルプスはRFを利用して患者の寝返りや起床などの状態を把握する「RFモーションセンサ」を試作している。多種類の部品をただ並べた従来の展示ではなく、部品を使って実際にできる応用を示すことが最近の特徴だ。もちろん、こういった機器には半導体チップは欠かせない。機器に必要な半導体チップを外部から購入し、大手部品メーカーはソリューション提案している。
CEATECとほぼ同じころSiCの国際会議(International Conference on Silicon Carbide and Related Materials: ICSCRM)が9月29日〜10月4日、宮崎県のシーガイアで開かれていた。日刊工業新聞はSiCの話題を伝えている。特に最大のトピックスとして、三菱電機が1cm角という大面積のSiC MOSFETチップを開発したと、10月2日に報じた。大面積化により300Aという大電流を扱うことができ、これまでは多数のチップが必要だった電車やハイブリッドバスなどの応用でチップ数を減らすことができ、部品コストを下げられるようになる。ただし、大面積化はゲート遅延の影響が出るため、高速性を損なわずにいかに均一に動作させるかが、実用化するうえでの課題となる。
また、日経新聞は、加賀電子とサイコックスが共同でSiCの単結晶膜と多結晶の張り合わせ技術を開発したと2日報じた。このニュースも宮崎のICSCRMで発表されたもので、この2社に加え、産業技術総合研究所と京都大学もこのプロジェクトに加わっている。多結晶SiC基板上に単結晶のSiC薄膜を張り合わせることで低コスト化を図ろうというもの。
東レは基板温度300℃に耐える耐熱性のあるフォトレジストを開発、SiCの製造プロセスのイオン注入の作業を簡単にすると発表した。このフォトレジストは東レリサーチセンターが開発、その実証実験を産総研、富士電機、アルバックと共同で行っている。東レリサーチセンターがICSCRMで出展したもの。
また、宮崎の国際会議とは直接関係しないようだが、昭和電工は6インチのSiCウェーハを10月から発売すると発表した。同社は、4インチ換算で現在の月産1500枚から2014年前半には2500枚に増強する計画。