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ルネサス、那珂・川尻・西条の3工場を維持・強化、残りは閉鎖/生産縮小へ

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先週末、ルネサスエレクトロニクスの2013年度第1四半期(4〜6月)の決算発表会が開かれた。営業損益は黒字を確保したが、リストラ費用などで特別損失を計上した。記者側の質問は、決算内容よりもっぱら工場閉鎖に関するものばかり。土曜日の日本経済新聞、日刊工業新聞とも工場閉鎖を話題として取り上げた。

今期のリストラ費用は主にルネサスモバイルに関するもの。社員の退職金などにかかる費用を特別損失87億円として計上した。今期は98億円の営業黒字を達成したが、その他営業外損失、法人税などの費用を加え、40億円の赤字となった。営業黒字のうち、前四半期(2013年1〜3月)と比べ円安により為替益が55億円増え、売り上げ増に伴う利益増は19億円となった。一方で、棚卸資産の縮減などによる経費増も含めると、前四半期に比べ営業黒字額は18億円増加した。

多くの記者が関心を寄せたのは、どの工場を閉鎖するか、であった。発表によると、12インチラインを持つ茨城県那珂工場と、8インチの熊本県川尻工場と愛媛県西条工場は主力拠点として生産を継続する。しかし、12インチ/5インチの鶴岡工場と、8インチ/6インチの甲府工場はそれぞれ、2〜3年以内、1〜2年以内に閉鎖する。その他、滋賀工場の8インチラインを2〜3年以内、高崎工場を1年以内にそれぞれ閉鎖、滋賀と高崎、高知、山口の6インチライン工場は生産能力を縮小し、適正体格で運営を継続する。ただし、山口工場は譲渡も検討するとしている。その中で作田久男会長は、「ルネサスエレクトロニクスは3社を合わせるとピーク時には1兆8000億円を売り上げた会社だ。今はその1/3しか売り上げがないのだから原理的には(人も)その1/3でよいはず。しかし、社員(の行く末)を考えると、逡巡した」とその苦しい胸の内を語る。

作田会長はルネサスに来た理由を、「誰かがやらなきゃならないだろうと考え、引き受けた」と述べた。ルネサスに来てからは「意思決定と業務プロセスが複雑だと感じた。これではスピードが遅い。これを解消したい」と語った。具体的には現在、中期計画を立てている最中で、まだ多くを語れない、としている。

会社更生手続き中のエルピーダメモリは7月31日にマイクロン・テクノロジーの完全子会社になった。社名を「マイクロンメモリジャパン」に変更することになる予定だという。広島工場はマイクロングループの先端品生産の主力拠点となる。マイクロンによる総額2000億円の買収によって、社員の雇用は維持されることになる。年内に20nmプロセス製品の量産を始めると8月1日の日経が伝えている。

米国のSpansionが富士通のマイコンとアナログ部門を買収することを表明していたが、8月2日に、この買収が完了したと発表した。棚卸資産を含め、1億4800万ドルを富士通に支払う。また、部品メーカーの太陽誘電は、日立製作所が保有する半導体の青梅工場(旧デバイス開発センター)を2014年4月に取得すると発表した。太陽誘電の子会社である太陽誘電モバイルテクノロジーが新工場として設立するとしている。日立の青梅工場は14年3月末に閉鎖することが決まっている。

家電3社の決算も発表された。8月2日の日経によると、2013年度第1四半期にはパナソニックとソニーの営業利益がそれぞれ642億円、363億円と前年同期よりも大幅に増えた。シャープは前年同期の941億円という巨額の営業赤字から30億円の黒字に転換した。営業利益を支えた共通点は円安とリストラの効果。パナソニックはAV機器の落ち込みをソーラー発電や建材などの住宅設備、カーナビなどの車載機器が支えた。ソニーはNTTドコモのツートップ戦略の端末に採用されるなど日欧での販売が増えデジカメやパソコンの落ち込みを補った。この2社に対してシャープは、主力の液晶がまだ95億円の営業赤字であり、収益性がまだ改善されていない。自己資本比率も6%と極めて低く、資本の増強も課題である。

(2013/08/05)

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