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スマホのトレンドに乗るべき部品メーカーのニュース相次ぐ

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この1週間のニュースは、スマートフォンのトレンドにうまく乗ったメーカーが成長しているため、今後もこのスマホトレンドに乗っていくためのニュースが相次いだ。折しも米市場調査会社のIDCが2013年第2四半期(4〜6月)におけるスマホの出荷台数トップファイブを発表した。

表1 世界のスマホメーカー、トップ5社 出荷台数の単位は百万台 出典:IDC

表1 世界のスマホメーカー、トップ5社 出荷台数の単位は百万台 出典:IDC


IDCの発表では、1位サムスン、2位アップルは変わらず、3位にLGが上がり、4位、5位には中国のレノボ、ZTEがそれぞれ入った。第2四半期におけるスマホの出荷台数は前年同期比52.3%増の2億3790万台に達した。1位のサムスンと2位のアップルはともにシェアを落としているが、トップ5社以外のその他メーカーのシェアは2012年の40.2%から2013年に42.4%へと増加していることから、寡占化ではなく市場は拡大基調にあると言ってよい。

スマホのモデム(OFDMデジタル変復調IC)とアプリケーションプロセッサのトップ企業であるクアルコムの第2四半期決算も明らかになった。売上額は前年同期比35%増の62億4300万ドル、純利益は31%増の15億8000万ドルと、26日の日経産業新聞は伝えている。

国内の部品メーカーもスマホブームに乗り遅れまいと頑張っている。24日の日本経済新聞は、中小型液晶パネルの専業メーカーであるジャパンディスプレイは、中国のスマホメーカー向けの出荷比率を2013年度には10%台前半まで伸ばすと報じた。2012年度まで中国向けはわずかだったという。エルピーダメモリもモバイルDRAMの中国向けの出荷比率を全体の2割にまで高めたとしている。

受動部品でも、TDKがアップル、サムスンだけに頼らず、中国スマホメーカー向けにコイルの生産量を第2四半期(4〜6月)には第1四半期よりも2割増強した。中国メーカーのスマホの存在感が増しているためだ。TDKは華為(ファーウェイ)、ZTEだけではなく、レノボや宇竜計算機通信科技などにも手を広げ、生産量を9月までにさらに2割積み上げる計画だ。表面弾性波フィルタも第3四半期には第2四半期の2倍に増やすと日経は伝えている。

TDKはさらにクアルコムとも協業し、同社のアプリケーションプロセッサと一緒に使うTDKの電子部品を推奨リストに加えてもらう。クアルコムは、アプリケーションプロセッサだけではなく、さまざまな部品も揃えて1ストップショッピング方式の開発キットを提案している。TDKにとってはクアルコムと一緒に成長できる機会となる。

スマホ用の半導体はアプリケーションプロセッサやモデムだけではない。ルネサスエレクトロニクスがスマホカメラ用の光学式手ぶれ補正ドライバを製品化した。スマホではこれまで高画素にすることで手ぶれ補正を行ってきたが補正データの増大により処理速度が遅くなるため、デジカメで行われてきた機械式(アクチュエータ)光学系を利用するという。手ぶれ補正のほかオートフォーカス制御もできるように、アクチュエータドライバ回路を搭載している。

半導体テスターメーカーのアドバンテストは、スマホに使うモバイルDRAM向けとモバイルロジック向けのテスターの受注がこの4〜6月期は好調だという。ただし、売上額は間に合わず、結果を出し切っていない。

スマホやタブレットの流れによって、パソコン王国であった台湾が揺らいでいる。28日の日経が伝えたものだが、パソコンが出荷台数を減らし、スマホやタブレットが台数を伸ばしている状況は、台湾のコンピュータ産業が端境期に来ているといえる。台湾は、パソコンの製造を手掛けるEMSが多く、出荷台数の減少は頭の痛いところだが、タブレットはパソコンよりも単価が1/4と安いこともタブレットへのシフトを遅らせている一因のようだ。

(2013/07/29)

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