Semiconductor Portal

» セミコンポータルによる分析 » 週間ニュース分析

パソコンからモバイルへのメガトレンドの加速に対応する電子各社

パソコンからモバイルへの動きが加速している。先週のニュースはこの動きを見事に反映している。ディスプレイパネル、NANDフラッシュ、CMOSセンサ、プリント基板、モバイル通信インフラ、全てが、スマホ・タブレットへのメガトレンドに乗っている。

この流れの一つの象徴が、シャープの三重第1工場の停止である。ここでは、1995年から液晶テレビやその後のゲーム機用パネルを生産してきた。国内テレビやゲームのメーカーの不調が大きく影響し、2013年6月に停止する。テレビ需要は頭打ち、ゲームはスマホに取って代わられる運命にある。

このトレンドは台湾や韓国でも同様で、液晶パネル各社は、パソコンやテレビ用からモバイル用の中小パネルへのシフトにより、黒字転換が見えてきた。5月27日の日本経済新聞によると、鴻海精密工業が奇美電子を買収してできた群創光電は、4〜6月期の中小型パネルの出荷量が1〜3月期で10〜15%増え、年末には品不足になるかもしれないという。台湾のAUOも4〜6月期は黒字転換する見通し、サムスン電子やLGディスプレイの韓国勢も中小型への生産をシフトしている。

国内ではジャパンディスプレイがスマホ用に有機ELパネル生産を2014年春から始めると発表、15年度量産を目指す。石川県川北町に5.2インチのスマホ用ディスプレイの試作ラインを設け、月産4000枚を予定しているという。

DRAMも同様で、パソコン用ではなくモバイル用の業績が回復しているという。台湾の南亜科技は1~3月期に13四半期ぶりに黒字に転換した。韓国SKハイニックスはパソコン用のDRAMが短期的に値上がりしてもモバイル用からパソコン用への逆戻りはしないと明言している。

メモリではスマホやタブレットで需要の多いNANDフラッシュの64Gビット(8Gバイト)版を量産すると東芝が発表した。線幅19nmのプロセスと2ビット/セルのアーキテクチャを用い、94mm2のチップ面積に収めた。独自開発した高速書き込み回路を使い書き込み速度25MB/秒を得ている。

モバイルカメラ用のCMOSセンサへの応用を意識して、台湾のUMCはシリコンの貫通電極TSVの特殊技術開発センターをシンガポールに開設したと発表した。半導体チップ同士を積層したままつなげるTSVに加え、CMOSセンサ技術、MEMSパッケージ技術も開発する。ソニーはCMOSセンサと画像処理LSIをTSVで接続した技術を開発しており、UMCもその技術の準備を始めたと見るべきだろう。

こういった半導体やカメラなどの部品を搭載するプリント基板にもスマホへのシフトが見られる。22日の日経産業新聞によると、パソコン用マザーボードやドーターボードが得意な台湾では、パソコンの需要減が響き3月の電子部品産業の鉱工業生産指数が前月比1.47%減だという。台湾の部材産業はスマホやタブレットへの対応を急いでいるが、まだパソコン市場が大きく影響している。

モバイル用途のプリント基板市場を狙い、大日本スクリーン製造が最小寸法15μmの回路パターン直接描画装置を開発した。さらにプリント回路基板の外観検査装置のスループットを上げることを27日の日刊工業新聞が報じた。直描装置「Ledia 5F」では、UV半導体レーザーを光源に使い、半導体LSIパッケージ基板やソルダーレジストの加工を狙っている。6月5日から東京ビッグサイトで開かれるJPCAショーに出展する予定だ。プリント基板の外観検査装置は、スマホ用だけではなく自動車用にも使う。いずれも熟練者の確保が難しく、より安定した品質が要求されることから、外観検査の自動化を進める。新たに投入するFP-9000では、最大1万5000枚の基板を自動検査できる。競合メーカーの1.5倍に相当すると日刊工業は述べている。

住友電気工業は、スマホ向けのフレキシブルプリント基板を90μmと従来の3割薄くした製品を開発、量産を始めたと発表した。この技術は導電性Agペーストによって表裏の配線を接続し、Cuメッキによるスルーホール形成をなくしたもの。Cuメッキは基板を厚くせざるを得なかった。Agペーストは、Agのナノ粒子を開発したことで薄く塗れるようになった。

モバイル通信インフラでは、FPGAメーカーのXilixと住友電工が提携したというニュースもあった。日経産業が27日に報じたこのニュースを解説すると、モバイル通信用デジタルスイッチやルータなどにFPGAが使われているが、モバイル通信装置にはもっと消費電力の削減が求められている。この通信装置を専用の基地局ではなく、一般的な電柱や建築物に大量に取り付けることで通信トラフィックの増大に対処する。いわば、つながりにくさを解消する。そのためには通信装置そのものを小型化し、数多く設置する必要がある。通信装置、中でも送信機のパワートランジスタの消費電力は大きいため、これを減らすことで小型の通信装置を目指す。住友電工はGaNトランジスタを開発しており、これをパワーアンプの出力段に利用することで、送信アンプの消費電力を削減する。小型の通信装置は、土地の確保が不要で設備コストも削減できる。

(2013/05/27)
ご意見・ご感想