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TSMCが今年の設備投資額を14〜20%増額、最大100億ドルに

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先週は、半導体業界の決算報告会が相次いで開催され、台湾TSMCは2013年の設備投資額が95億〜100億ドルになるという見通しを発表した。従来見通しの90億ドルよりも上積みした金額になる上に、2012年に投じた83億ドルと比べ14%〜20%増となる。2013年度には好調が続く、と装置メーカーは見る。

4月19日の日経産業新聞によると、TSMCの設備投資額の上積みはスマートフォン向けの需要好調が続くと予想、供給能力を確保して顧客を囲い込む。ちょうど1年ほど前には、28nmのLP(低消費電力)プロセスの生産能力が追い付かず、クアルコムやブロードコムなどスマホ向けの主力ファブレスが不満を漏らしていた。HP(高性能)プロセスはFPGA向けに先行していたため、ザイリンクスやアルテラなどには供給されていた。今回はスマホ向けなので、LPプロセスの生産能力を増強すると見られる。

東京エレクトロンは、2013年3月期(2012年度)の売上予想額を前年度比21%減の4972億円、連結純利益が同84%減の60億円に修正したと発表した。従来予想では売上額は4950億円、利益は45億円だった。3月以降に台湾などの半導体メーカーの設備投資意欲が持ち直してきたことが上方修正した要因。スマホやタブレット向けのメモリ需要による製造装置の成長を見込む。

ウェーハからチップを切り出す切断装置や研磨装置など後工程の装置や消耗品部材を手掛けるディスコは、2013年3月期の売上額は前年度比5%増の940億円、連結営業利益は同13%増の120億円になったもよう、と17日の日本経済新聞が伝えた。従来予想は連結営業利益が6%減の100億円だったから、マイナスからプラスへ転じたことになる。やはりスマホやタブレット向け半導体の需要が持ち直し、3月以降はアジアの半導体メーカーからの受注が上向いたとしている。ただし、この業績報道はディスコが発表したものではなく、5月9日に連結業績を発表する予定だとコメントしている。スマホなどの小型薄型携帯端末では、ウェーハを研磨、薄く加工してからダイシングすることが多い。
 
半導体ビジネスを強化する動きも出てきた。半導体プロセス向け流量制御機器メーカーの堀場エステックは研究所として、京都府福知山市に堀場エステック京都福知山テクノロジーセンターを開設することを、親会社の堀場製作所が18日に発表した。投資額は土地、設備を含み約10億円。堀場厚社長は「450mmウェーハや微細化、積層型チップなどを考えると、先端開発へのニーズが高まる」と説明したことを19日の日刊工業新聞が報じた。

半導体チップをプラスチック材料でモールディングする金型装置を生産するTOWAは、韓国と台湾で事業体制を強化すると17日の日刊工業が伝えた。韓国に販売会社TOWA韓国を100%出資により設立した。従来の現地代理店と本社営業本部の営業力に加え、技術サポート力を高める。台湾では、これまで40%出資していた現地の巨東精技股分有限公司への出資額を第三者割当増資により60%に引き上げた。この会社はTOWAの装置のパーツ販売やアフターサービスを手掛けていたが、今回の子会社化により、半導体メーカーに技術提案を行う体制を整えていくとしている。

シャープは、アモーファスSiに代わるIGZO(In/Ga/Znからなる酸化物半導体)液晶パネルを、サムスンのノートパソコン向けに今夏出荷する、と19日の日経が報じた。サムスンはシャープに104億円を出資したことで、IGZO-TFT液晶パネルを供給してもらうようになった。その一方で、シャープは、台湾の鴻海と相変わらず交渉がうまくいかず、メキシコ工場の鴻海への売却交渉を打ち切ったと16日の日刊工業が報じた。昨夏以降、シャープは液晶テレビを生産するメキシコ、中国、マレーシアの3工場の鴻海への売却は全て失敗したことになる。

(2013/04/22)

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