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エルピーダの再建計画進展、イースタンがMPUパッケージ事業進出へ

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国内企業の再構築が進んでいる。エルピーダメモリが昨年8月21日に東京地裁に提出していた更生計画案に対して、債権者による同意の決議が得られた。再建が一歩進んだことになる。インテルMPUのパッケージ基板を製造していた日本特殊陶業が回路基板事業を、CSP基板やプリント回路基板を手掛けるイースタンに委譲することが発表された。

エルピーダの更生計画案に対しては、担保付きの債権者から99.54%の合意、一般債権者からは67.90%の合意を得た。3月上旬から中旬にかけて両債権者に認可決定の報告と弁済案内を順次発送する。エルピーダはマイクロンテクノロジー向けのDRAMを生産しているが、マイクロンから受け取る総額2000億円を負債総額4400億円のうちの約半分に充てる。

自動車用のプラグで有名な日特は、半導体パッケージ基板が中核を占める情報通信部門の売り上げが2013年3月期に前期比13%減の296億円になり、営業赤字が88億円に拡大し6期連続の部門赤字となる見通しだと、2月26日の日経産業新聞が報じた。他の自動車関連とセラミック関連の部門は黒字の見通し。日特はインテル向けのMPUパッケージから手を引いた後も赤字が続き、イースタンに譲渡することになった。

ただし、譲渡すると同時に日特はイースタンの株式も保有する。イースタンが発行する第三者割当増資の201万1000株式を日特が引き受け、イースタンは22億7300万円の資金を得て、製品開発や設備投資などに充てる。日特はイースタンの議決権33.4%を保有することになる。イースタンはCSPパッケージ基板に実績があるものの、MPU向けのパッケージは手掛けていなかった。日特の技術を得ることで、インテルのMPUやモバイルプロセッサ用パッケージビジネスを獲得しやすくなる。イースタンはCSPに使われる微細配線技術や、薄型基板技術に強い。

先週はスペインのバルセロナで、Mobile World Congress 2013が開かれた。この展示会は通信オペレータが主導し、通信機器メーカーやそれに使う半導体メーカーなどが集まるショーであるが、日本の新聞はスマホやタブレットなどの製品しか報じていない。モジラ(Mozilla)財団が提供している新しいOSであるFirefoxを利用したスマホを中国の携帯電話メーカーZTEや、韓国LG電子など4社が生産している、と2月26日の日本経済新聞は報じていたが、実際に製品を展示したのはZTEのみ。

Firefoxを使えばブラウザベースでソフト開発ができ、プログラミング技術を習得しなくてもすむというメリットがある。しかもオープンソフトウエアであるため、スマホを低コストで作りやすい。100ドルスマホに向いたOSと言われている。

信越化学工業は、屈折率が1.55と高く、しかも高出力LEDに使えるパッケージ封止材と、パッケージ基板に、シリコーン樹脂を用いた製品をサンプル出荷した。シリコーン樹脂は基板やチップとの密着性が悪いためエポシキ樹脂の添加が検討されていると伝えられていた(参考資料1)。またエポシキ樹脂は高出力LEDの光に対して劣化する傾向があり、結果としてLEDの光強度が落ちて行くという問題があったため、シリコーン樹脂を開発した(参考資料2)。このニュースを掲載した2月27日の日刊工業新聞によると、封止材の売り上げは初年度10億円、基板は2016年に10億円を目指すとしている。

参考資料
1. 村上元「躍進するLED市場とLEDパッケージ関連技術の進展
2. ニュースリリース「信越化学、高輝度LED用に高屈折率の封止材と実装基板を開発」 (2013/02/26)

(2013/03/04)

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