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2012年7〜9月期の決算報告相次ぐ、10〜12月期以降はやや不安

今年の第4四半期は雲行きが怪しい状況になっている。先週、発表のあった半導体企業、エレクトロニクス企業の業績は軒並み悪くなってきた。ルネサスエレクトロニクスは8月の4〜6月期の決算報告会の席上、13年3月期の通期見通しで営業利益を計上できる見通しと述べたが、今回の7〜9月期決算報告において10〜12月期以降は厳しくなると述べた。

ルネサスのこの第2四半期(7〜9月)は、前期比34%増の2228億円の売り上げで、営業損益は前期の176億円の赤字から57億円の赤字に圧縮された。前回は受注が上向いていたが、今回は先行きの厳しさを強調した。ロームは2012年4〜9月期の売り上げが1507億円(連結)と前年同期8%減となり従来予想を62億円下回った。経常利益は3億5000万円の黒字だが、最終損益は為替差損などの影響で1億7000万円の赤字となった。

東芝は2013年3月期の売り上げ見通しは昨年度並みの6兆1002億円(連結)で営業利益は2600億円になると発表した。4〜6月期にNANDフラッシュが値崩れを起こしたことが響いたとしている。7月からの減産により需給が引き締まり、7〜9月期は黒字に転換したという。

CMOSイメージセンサで好調だったソニーは、中国におけるデジカメ市場の急激な冷え込みにより、2013年3月期の半導体売上額は期初予想から200億円減の4900億円になると下方修正した。三菱電機は4〜9月期にこれまで好調だったパワー半導体を含む電子デバイス部門が16億円の赤字になったと発表した。産業機器や家電、鉄道車両向けなどの需要が減り、売上・受注額とも前年同期を下回ったとしている。

製造装置メーカー国内トップの東京エレクトロンは、2013年3月期の連結純利益が前期比81%減の70億円になると発表した。売り上げは21%減の5010億円。7〜9月期の半導体製造装置の受注は前四半期比12%減の670億円となった。10月以降は回復が見られるとしているがそのペースは鈍いという。

どうやら液晶テレビやパソコン、デジカメなどの家電は軒並み不調で、唯一スマートフォンだけが好調のようだ。半導体後工程の製造装置メーカーであるディスコはスマホの需要拡大を追い風に、半導体チップ切断装置の受注が4〜9月期は好調だったという。連結営業利益は70億円強となり前年同期を上回った、と11月2日の日本経済新聞が報じた。ウェーハ切断装置や消耗品のブレードなどがアジアの顧客からの受注が伸びたとしている。13年3月期通期では増収増益を見込んでいるという。

中国経済の減速、欧州の不安要素に加え、竹島や尖閣諸島などの政治問題の影響も出てきた。先週パシフィコ横浜で行われたFPD Internationalでは韓国のサスムンとLG、台湾のAUO、中国のBOEなどが出展をキャンセルした、と10月31日の日経は伝えている。12月5〜7日、幕張メッセで開催されるセミコンジャパンでも出展企業が減少している。昨年より130社少ない700社程度、PVジャパンでも昨年より40社少ない200社になる見通しだという。

シャープは酸化物半導体トランジスタを使った液晶パネル(通称イグゾーIGZO)の量産を2013年1月から三重県亀山第2工場で始める、と11月1日の日刊工業新聞が報じた。ただし、量産規模は月産10万台分と小さい。世界のウルトラブック市場を相手にするなら数100万台の規模は欠かせない。アップルのタブレットにも採用が決まっている。In、Ga、Znという3つの金属の酸化物であるこの半導体は、性能は良いが、均一性、再現性、量産性が最大の問題。このパネルを世界市場で売るためには問題を解決し、歩留まり・生産性を上げることが必須となる。

(2012/11/05)
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