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CEATEC、期待に反してニュース少なく国内電機産業の状況を映す

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昨日は、ノーベル医学・生理学賞を山中伸弥京都大学教授が受賞したといううれしいニュースが飛び込んできた。iPS細胞のiはアップルのiPodのようにみんなに使ってもらいたいとの思いで小文字にしたのだという。エレクトロニクスに関しては先週、千葉県幕張メッセで開催されたCEATECがらみの話の中、ルネサスの早期退職の話題が半導体業界を駆け巡った。

図 CEATECが開かれた幕張の会場 初日の特別公開日

図 CEATECが開かれた幕張の会場 初日の特別公開日


日本の民生エレクトロニクス産業の低調と同様、CEATECもめぼしい話題がないね、という声をあちらこちらから聞いた。10月2日(火)から6日(土)までの5日間での入場者数は16万2219人と、目標としていた20万人から大きく下回り、昨年の17万2137人よりも1万人少なかった。4K2Kの大画面テレビを見た人は大きくてきれいだね、というだけであり、市場で幅広い消費者に受け入れられないだろうという見方が強い。80インチを超える大画面テレビを一般家庭のどこに置けるのだろうか。周りの方々に聞いても40~50インチで十分、という声が多い。

民生エレクトロニクスの主役はテレビやビデオ機器からスマートフォンやタブレットに代わっている。数年前からCEATECに携帯電話やスマホが展示されるようになり、携帯電話機メーカーだけではなく、通信オペレータ業者の展示も増えた。今年はスマートハウスと電気自動車(EV)の展示が多かった。10月3日の日本経済新聞では、スマートハウスを次の収入源としてパナソニックやトヨタの展示を紹介していた。スマートハウスとEVの共通点はバッテリである。スマートハウスでは、EV用のバッテリを住宅の電源に使うことが想定されている。ただし、スマートハウスにせよ、EVにせよ、CEATEC以外の展示会でも最近、それらは主要テーマとなっている。新聞をはじめとするメディアは今回のCEATECからのニュースをあまり採り上げていない。

ルネサスエレクトロニクスは、9月18日から26日までの間に早期退職者を募集したところ5千数百名の予想に対して7511名の応募があったとプレスリリースを流した。退職日は10月31日となり、その退職特別加算金などで7〜9月期に特別損失850億円を計上する予定だとしている。早期退職で年間540億円の人件費削減を見込んでいる。

台湾でもリストラの動きはある。DRAM大手のProMOS Technologyは、従業員の8割に相当する1360名を12月末までに解雇する、と4日の日経産業新聞が報じている。これほど大量の人員削減は、IDMとしての会社の存続を危ぶむものだ。今後はファブレス事業に転換する可能性もあると伝えている。

一方、買収した工場を稼働させたというニュースもあった。富士通セミコンダクターが保有していた岩手工場をデンソーが買い取り、そこをデンソー岩手として発足させた、と4日の日刊工業新聞が伝えている。デンソー岩手の従業員は535名で、ほぼ全員が富士通セミコンダクターから移籍したという。このプロセス工場を持つことでデンソーでは、刈谷の本社工場、幸田製作所に加えて、ウェーハ処理能力が全体で2倍になるという。

(2012/10/09)

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