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大日本スク、日立ハイテク、TELなどセミコンJを意識した前向きニュース

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先週、東芝が北九州、静岡県御前崎、千葉県茂原の3工場を閉鎖するというバッドニュースが流れたが、今週始まるセミコンジャパンや先週末から一般公開が始まったモーターショーを見据えたグッドニュースも登場した。セミコンジャパンでの大日本スクリーン製造や日立ハイテクノロジーズ、トクヤマ、といった企業がニュースを発表、東京エレクトロン(TEL)がASMLとEUVでコラボを発表する、など前向きのニュースが目白押しだ。

セミコンジャパンでは、大日本スクリーンが毎時800枚という枚葉式のウェーハ洗浄装置を開発、今月から納入を始める。枚葉式の洗浄装置ではこれまで毎時500枚だったがそれを一気に増やすことで、生産性が向上する。日立ハイテクは測長SEMで高いシェアを誇ると言われているが、11月25日に累計出荷台数が4000台に達したと発表した。パターン寸法を測る測長SEMの測定精度は今や0.3nmと原子1個のサイズ並みになってきたという。報道した12月2日の日経産業新聞は、同社装置の重要性が今後も高まると期待している。

トクヤマは6インチのサファイヤ基板を開発したと日経産業が伝えた。サファイヤは、GaN を利用する青色(黄色い蛍光膜を被せると白色)LEDやパワーデバイスの基板となる。10億円を投じて試験拠点を開設、2012年中の事業開始を見込む。白色のLED照明市場を狙い、基板材料事業に本格的に参入する。2017年に年間売上100億円を見込む。

14nm時代から本格的な利用が始まると見込まれるEUVリソグラフィを開発しているオランダASMLが、TELと提携、EUVの実用化に対応する。ASMLはリソグラフィ装置に特化しているが、TELはレジストを塗布・現像する装置を開発する。EUVの実用化にはリソ装置だけではなく、レジストをはじめマスク作成・検査・修正装置や反射ミラー技術、光源などさまざまな技術を完成させなければならない。12月1日の日経産業は、TELが装置と共に数人の技術者をASMLの開発拠点に派遣すると報じている。

高品質を売り物にしている日本企業にとって追い風となるニュースがあった。12月2日の日経産業が報じたところによると、米上院は国防予算案に、偽造電子部品対策の強化条項を盛り込む修正案を可決した。いわば偽物の半導体や電子部品を国防総省がつかまされることを防ぐための法案で、偽物の多くが中国ルートで入って来たものだとしている。半導体や電子部品にIDをしっかり付け、いつどこで誰が製造したものかがトレースできるようにしている。絶対に偽物は作らない日本の半導体メーカーが米国に売りこむのに絶好のチャンスである。この機会を逃がしてはならない。

先週、筆者(津田)もモーターショーを取材に行ってきたが、同ショーはEV(電気自動車)一色である。プラグインハイブリッドカー(PHV)もEVと同様のリチウムイオン電池を使うため、リチウムイオン電池周りの半導体は大きなビジネスチャンスとなる。水素を利用して発電する、燃料電池のクルマにもリチウムイオン電池は使う。発進時の加速と、回生ブレーキに使うためだ。EVは日本メーカーだけではなく、海外メーカーも出展している。特に、ドイツのBMWはEVもPHVも見せた。テレビや新聞などの報道ではデザイン性が優れているPHVしか報道されなかったが、EVに関しては後日、セミコンポータルでお伝えする。

先週のニュースでは、デンソーが回生ブレーキを利用するアイドリングストップ機構を2015年をメドに実用化する、と11月29日の日刊工業新聞が報じている。ここにもリチウムイオン電池が使われるだろう。アルプス電気は自動車用の電子部品をインドで拡販する、と12月2日の日刊工業が報じた。EV用のM2M通信モジュールや、電流センサ、パワーインダクタなどの電子部品を拡販する。これまでもキーレスエントリやエアバッグセンサ、スイッチなどの供給実績があるという。

最後に東芝の3工場閉鎖に関して、特に北九州が反発しており(1日の日経産業、2日の日刊工業)、九州内での半導体誘致合戦を繰り広げてきた九州の自治体は将来性のある半導体ビジネスの撤退を疑問視している。北九州工場では光半導体を生産しており、LED事業やイメージセンサなどのオプトエレクトロニクスは、WSTSの2011年の実績見通しでは、半導体全体の伸び率の1.3%に対して、+5.2%の伸びが見込まれている。この伸びる半導体を生産しているのになぜ撤退するのか、という疑問が出ているようだ。

(2011/12/05)

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