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巨大地震発生、半導体工場は稼働を即時停止し、状況把握に懸命

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3月11日、東北地方を中心に日本列島はマグニチュード9.0という未曽有の巨大地震に見舞われた。余震はいまだに続いている。今回の地震は、揺れそのものの被害が全く分からなくなるほど津波による被害があまりにも大きく、あまりにも悲惨だった。半導体工場、半導体製造装置工場、材料工場は大丈夫だろうか。

これまでの所、東芝の岩手工場は、稼働を停止し、人的被害はないが、建屋や動力などの被害については調査中という結果を発表した。また公共インフラの被害としては停電を被った。東芝は自分の工場の被害状況を即座に発表したと同時に、自ら義援金5億円相当を今回の地震被害における被害者の救済や被災地の復興に役立てるように申し出た。

ルネサス エレクトロニクスは、国内22拠点のうち7拠点で生産を停止していると発表した。そのうち、ルネサス山形セミコンダクタ(株)鶴岡工場は、生産再開に向けた立上げ作業を進めており、鶴岡以外の6工場については、被害状況の確認作業等を行っているとしている。停電によって生産を中止した7つの工場は以下の通りである。

表 生産停止しているルネサスの7つの拠点
表 生産停止しているルネサスの7つの拠点

東京エレクトロンは、「直ちに社長を本部長とする対策本部を本社に立ち上げ、情報の収集、並びにその対応を進めています。本日までに対象地域のほとんどの社員の無事は把握しておりますが、社員の家族の安否も含めて引き続き確認をしています。また、地震により一時操業を停止しております東京エレクトロン東北(奥州市)、東京エレクトロンAT(松島町)、並びに東京エレクトロン技術研究所(仙台市)の被害状況についても、ライフライン回復後にどの程度の期間で復旧が可能か調査中です」と発表した。

LSIテスターのアドバンテストは、仙台のアドバンテスト研究所では停電が発生しており、詳細がつかめてはいないが、被害報告はまだ受けていないとしている。群馬と埼玉の3拠点は操業している。

信越化学工業は、群馬工場、鹿島工場、信越半導体白河工場の操業を停止したと発表している。今回の地震により、白河工場において、3名の軽傷者を出したとしている。

半導体工場ではないが、パナソニックでも「AVC社の福島工場や仙台工場、パナソニック電工の郡山工場、三洋電機の東京製作所(群馬)などで数人が軽傷を負い、建物では一部天井の落下や壁が落ちたという被害の報告が数件入っている」とBloombergは伝えている。

日立製作所は今朝プレスリリースを発行し、茨城県内の生産工場を中心に建屋および生産設備に損傷が発生していると述べた。従業員の安全を最優先し、電力供給の状況をみながら生産設備の損傷について確認していくという。建屋と生産設備の損傷が確認された工場は、電力システム社日立事業所と都市開発システム社水戸事業所、情報制御システム社大みか事業所、日立アプライアンス多賀事業所、日立オートモーティブシステムズの佐和事業所と福島事業所の6事業所である。

これらの半導体メーカー、半導体関連メーカーは自ら被害を被っているのにもかかわらず、巨大津波や地震で被害を受けた方への義援金を送ることも発表している。東芝に続き、日立グループが3億円、アドバンテストは1億円、エルピーダが2000万円相当を拠出する。

New York Times紙は連日、この巨大地震による爪痕を報道している。菅直人首相が「今回の地震、津波、原子力発電所の事故は戦後65年のなかで最大の危機だ。国民が一体になって困難を乗り切ろう」と述べたことを伝えている。そして、神戸の大震災の時は、海外からの支援を断わったり制限したりしたため、被害状況は海外に余り伝わらなかったと報じ、今回の海外からの支援を受け入れ、国際協力を日本政府が求めていることを好意的に伝えている。

(2011/03/14)

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