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ノキアとマイクロソフトの提携、シンビアンからWindows Phoneへのシフトへ

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携帯電話最大の展示会であるMobile World Congress (MWC) 2011が今週の14日月曜日からスペインのバルセロナで開催される。そのせいか、先週あたりから携帯電話やスマートフォンに関するニュースが単発的に流れるようになってきた。最大のニュースはロンドン時間2月11日(2月12日の日本経済新聞に掲載)に発表されたノキアとマイクロソフトの提携だろう。

図1 スマートフォンの世界市場 出典:ガートナーのデータをセミコンポータルが加工

図1 スマートフォンの世界市場 出典:ガートナーのデータをセミコンポータルが加工


携帯電話世界1位のフィンランド企業とソフトウエア1位の米国企業とのこの提携は、新しい世界的なエコシステムを作り上げるためと発表されているが、ノキアはスマートフォンのOSをこれまで主体のシンビアンからWindows Phoneを主体的なソフトウエアプラットフォームとする。ノキアはこのプラットフォームを使って得意としてきたハードウエアの最適化に加え、ソフトウエアのカスタマイズ、世界各地の言語対応などを加速すると考えている。ノキアのコンテンツストアはマイクロソフトと統合されることになろうという。マイクロソフトは開発ツールを提供し、アプリケーション開発者の仕事を促進、これによりノキアのグローバル展開は加速されるとしている。

ノキアは実は今、変革の時として、新しい試みを行っている。昨年10月には世界中の従業員を1800名カットして、シンビアンのスマートフォン組織をスリム化しようとしてきた。これまでの同社のスマートフォンのOSはシンビアンであった。このOSは残すが、この先さほど力を入れないようだ。インテルとの提携によって開発してきたMeeGoプラットフォームについては携帯電話のOSとして今年中にもMeeGo関連製品を発表する予定だとしている。

今回の提携による効果はどうか。今のところ、株式市場ではネガティブな反応にとどまっている。バルセロナまでの機内で読んだFinancial Times誌によると、ノキアはこの提携を発表してから株価を14%下げたと報じているからだ。これまでのシンビアンを否定し、Androidへ向かうのではなくマイクロソフトの携帯向けOSであるWindows Phoneに向かうことを決意した今回の提携は市場やアナリストは歓迎していない。

図1に示す米調査会社ガートナーが発表したスマートフォン市場は2010年にほぼ3億台に成長した。スマートフォンのOSとしてシンビアンは市場シェアをかなり落としている。勢いはアンドロイドの方が強い。ガートナーだけではなく、同じく市場調査会社のIDCもアンドロイドの方がシンビアンよりも勢いがあると見ている。シンビアンは、携帯電話向けの軽いOSとして長年携帯電話業界で強く支持されてきたが、ノキアが買収し、シンビアンアライアンスは事実上崩壊した。もはやシンビアンには勢いがなくなってきている。

2011年はスマートフォンとメディアタブレットが大きく成長するとさまざまな市場調査会社が予測しているが、セミコンポータルでもパソコンからメディアタブレットへの大きなうねり(参考資料1)を伝えてきた。これを支持する動きがやはり12日の日経に掲載されている。ノートパソコンやネットブックを生産してきた台湾のアサステックコンピュータの業績が発表され、昨年10〜12月期の純利益が29%減少したという。売り上げも前年同期比で1%減少した。日経によるとアップルのiPadに押されネットブックが伸び悩んだのが響いたという。アサステックは、2011年にはタブレットEE Padを強化していくとしている。

ノキアにせよ、アサステックにせよ、時代の変化には敏感でビジネスの行き詰まりを感じると素早く変身していく姿勢がある。これこそグローバル競争に勝つための姿勢だといえる。

参考資料
1. はっきり見えてきた、ノートPCからタブレットへの大きなパラダイムシフト (2010/09/27)

(2011/02/14)

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