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スマートメーターの周波数割り当てを受け電力各社が100万世帯に設置を計画

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先週は、電力各社がスマートメーター(自動電力計)を100万世帯に設置する計画を日本経済新聞が2月3日1面トップで伝えた。総務省がスマートメーター専用の周波数帯(915〜928MHz帯)を割り当て12年夏から利用できるようにする。スマートメーター設置はスマートグリッドの構築に向けた第1歩となる。

スマートメーターはスマートグリッド網の中ではセンサーとしての役割を果たし、家庭やオフィスビルでの電力量を測定、そのデータを送受信する。電力泥棒の多いイタリアやスペインではGSM系の2Gネットワーク対応のM2M(マシン-ツー-マシン)通信モジュールを使って構築している。これに対して日本では、独自の無線ネットワークで電力計を無線方式に替えようという訳だ。

ここに半導体の大きな市場が生まれる訳だが、盗聴(データの傍受)を防ぐための暗号化技術をベースバンドチップに載せることが求められるだろう。家庭やオフィスの電力料金を不正に使われると社会問題になるからだ。大崎電気工業と日立製作所、富士電機とGEなどが共同開発に取り組んでおり、データ送受信方法の標準化をどうするか、など課題は多いが、半導体にとってはビジネスチャンスになる。

電力系分野においてはパワー半導体が欠かせない。SiC開発を進めているロームは、SiCもさることながらSiのパワー半導体のラインアップを拡充するというニュースを2月4日の日刊工業新聞が報じた。同社の澤村諭社長とのインタビュー記事の中で、SiCはトランジスタとダイオードを量産に載せたが、プロセス技術や価格などの問題がまだ多いため、あと2年はかかると見て、それまでの間にSiでもパワー半導体の製品ラインアップを増やしていくと考えている。

SiC市場への参入は今からでも遅くはない。電子部品メーカーの双信電機はSiCパワー半導体向けのコンデンサやノイズフィルタを開発する、と2月3日の日経産業新聞は伝えている。SiCパワーMOSFETやパワーJFETは高温動作が可能であると同時に高周波のスイッチングもできる。耐圧も高い。SiのIGBTは電流容量が大きく、しかもトランジスタと同じスイッチング動作が容易なためパワー半導体分野の主流デバイスとなっている。しかし、シリコンゆえに接合温度Tjmaxが150度程度と抑えられている上、スイッチング動作時には少数キャリヤの蓄積時間があるため高速動作させにくい。SiCのFETはこれらの欠点を克服できるため、期待は大きいが、製造上作りにくい、結晶ウェーハサイズが小さく、低価格がしにくい、といった欠点がまだ解決されていない。

しかし、2〜3年後には市場たくさん出てくるだろうとの読みから、双信電気はSiCパワーMOSFETやJFETに使う部品として、高速スイッチング性能や高温動作にも耐えられる製品を開発する。100kHz〜3MHzの高周波特性、200℃に耐える、といったスペックを満たすように2013年度をめどに大学と連携して開発を進めていくとしている。

テレビ市場向けにシャープが台湾の奇美電子と提携するというニュースもあった。円高に対応することがその狙いのようだ。奇美電子は同じ台湾の鴻海精密工業に買収されているが、鴻海との関係に期待するという見方もある。

英国のスマートフォン事情についての解説記事シリーズが日経産業新聞に2月2日から7日かけて掲載された。無線LANの基地数を日本の200倍も多い200万局配備し、さらに光回線の低価格化(基本料金18ポンド=2400円)を実現している。通信業者(キャリヤ)が主導するアップストアをアップルに対抗して立ち上げる計画だ。加えて、アップルに対抗するため、ブラックベリーとアンドロイドに肩入れしている構図をレポートしている。

(2011/02/07)

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