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インテルと大学、携帯充電器の統一、などコラボレーションの試みが活発に

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先週は、インテルが大学の研究に今後5年間で1億ドルを投資すると発表、欧州におけるスマートフォン用共通充電器が動き出し、電気自動車用の充電器の通信規格標準化をNECが主導し、実験を始めた、というニュースが流れた。これらに共通するコラボレーションが今後のビジネスのキーワードとなる。

図1 NECが開始したEV用急速充電器の通信規格評価実験

図1 NECが開始したEV用急速充電器の通信規格評価実験


インテルは、大学に依頼する研究開発投資を選択と集中に切り替えるという戦略を打ち出した。これまで同社は近くの大学との研究するためにオープンコラボレーションセンターを運営してきた。ここではこのセンターを運営、維持、スタッフ雇用に注力して投資してきた。今回のプロジェクトは、「インテル科学技術センター」を設立し、インテル研究所ともっと密なコラボレーションを行い、これまでと比べ最大5倍の研究資金を投入する。テーマはビジュアルコンピューティング、携帯性、セキュリティ、組み込みソリューションインテルの研究分野と合ったものを選択する。

まず第1弾として、スタンフォード大学に最初のセンターを作り、ビジュアルコンピューティングを研究する。インテルは、こういった研究センターを今年中に数校の大学に設置する計画である。

欧州市場で共通に使える充電器が2011年前半に発売されるというニュースが1月30日の日本経済新聞に掲載された。スマートフォン側の差し込み形状を統一することで、消費者はどのメーカーのスマートフォンに切り替えても充電器をそのまま使うことができるようになる。これまでは携帯電話機を買い替えると、充電器もとり変えなければならず、資源の無駄になっていた。

この規格統一に参加するのは、ノキア、サムスン電子、リサーチ・イン・モーション、ソニー・エリクソン、モトローラ、アップル、華為など世界に名だたる携帯電話機メーカーばかり13社。ここに日本のメーカーを見かけないが、スマートフォンで世界に打って出るつもりなら当然この規格に統一に参加すべきだろう。欧州5億人市場の携帯電話通信規格が世界標準になったように、日本企業が世界で活躍するためには欧州や米国の規格を一緒に検討することが欠かせない。

最後のニュースとして採り上げたNECの取り組みは、総務省のプロジェクト、「スマート・ネットワークプロジェクト」の活動の一環(図1)。NTTファシリティーズ、日産自動車、NTTドコモ、JX日鉱日石エネルギー、日本ユニシスなどと共にEV用急速充電器の利用者認証や遠隔運用などのクラウドサービスに係わる通信規格の評価実験をNECが開始した。これまでは、利用者の認証や運用管理に関するクラウドサービスの通信規格は統一されていないため、相互利用ができないという問題があった。

今回の実験は、公共の急速充電器とクラウドコンピュータを通じて、認証や相互運用性を評価する。公共の場に設置された充電器ではこの実験は意味あるが、公共の充電ステーションとセンターのコンピュータとのやり取りを規格化するのであれば、日産だけではなくトヨタとホンダも加えて相互運用できることを確認しておけば本当のデファクトになりうるだろう。

ただし、今回の実験は家庭で充電する場合については関係ない。そもそも充電ステーションでのクルマの認証とサーバー側の運用管理に限った実験だからである。

(2011/01/31)

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