Semiconductor Portal

HOME » セミコンポータルによる分析 » 週間ニュース分析

インターネットの主役はSNS、その変化と同じ速度を半導体屋は感じるべき

お正月明けの2週間が過ぎたものの、いまだにニュースらしいニュースがない中、1週間の新聞を眺めてみると、1月11日の日本経済新聞「特集−米国を読む2011、ネット業界を占う@西海岸、再編の主役はSNS」という記事が目に付いた。ニュースではないもののSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の現状について解説している。

IT系のブロガーから聞いた話で恐縮だが、今や米国ではGoogleよりもFacebookの方が勢いはあるらしい。会員数は世界中で5億人を突破し、創業者マーク・ザッカーバーグ氏は最近のヒット映画「The Social Network」のモデルにもなった。Facebookと似たようなインタラクティブな交流サイトに、LinkedInもある。LinkedInは業界同士の人脈形成に向き、Facebookはもっと一般的な人脈形成に向くようだ。

実は、私の所にもこれらの会員と友達になりましょう、という案内をいただくことが多い。これらは、人と人をつなぐ交流サイトであるが、一歩間違えると出会い系サイトになりかねない。LinkedInには私自身、会員となって人脈形成に利用させてもらっているが、Facebookには加盟していない。LinkedInだと、友達になりましょうと言ってくる人が、海外の知り合いだったり、あるいは知らない人でもPR会社の人だったりして、ビジネスに大きく関係してくる人が多い。しかし、Facebookでお友達になりましょうと言ってくる、見知らぬ人の略歴を見ると仕事と全く関係ない人が多く、もっと一般的に広い人との交流を目指している。

なぜFacebookが今注目されているのか。米国では仕事で何かの言葉や事実を調べようとする場合、Googleで検索したりWikipediaを見たりするが、Wikiには間違いが結構多い。またGoogle検索には最初のページで欲しい情報が出てくる訳ではない。案外、まどろっこしいことが多い。これに対して、Facebookは知りたい情報を登録者に呼び掛け、そこからすぐに欲しい情報が得られる、と知人のITブロガーは言う。このため、Googleよりも調べ物の役に立つことが多くなっているというのである。日経の記事では、GoogleがFacebookの動きに反応したことに対して、「ネット利用者がフェイスブックの中でしか情報を交換しなくなれば、検索サービスの手が届かない“ブラックホール”も拡大する」と述べている。

確かに人と人をつなぐSNSは、仕事の役に立つことが多そうだ。1カ月前にシンガポール人の知人からLinkedInを通じて仕事を受けてくれる日本人を探している、という依頼を受けた。その前は、こちらから知り合いの中国人ジャーナリストに中国メディアについてLinkedInを通じて質問し、答えをいただいた。彼は転職したため古い名刺を使えなかったが、LinkedInで互いにつながっていたため、新しいメールアドレスももらうことができた。PR会社や企業をアピールしたい人たちは積極的にLinkedInを活用し、新情報を発信している。

インターネット、IT、エレクトロニクス、半導体の社会の変化は実に速い。インターネットはブラウザが普及して以来まだ10数年しか経っていない。その間ネットスケープをAOLが買収、検索サイトのYahooが登場し、もっと使いやすいGoogleが一番の注目かと思っていたら早くもFacebookだということだ。コンピュータ系は半導体と比べると意外と進歩は遅いが、インターネットの速さはエレクトロニクスや半導体の速さともピタリと関連する。

先日、城西大学でエレクトロニクス・半導体産業について講演したら、これほど身近な産業であり、しかも進歩の速い産業とは知らなかった、さらに半導体やiPhoneを作るのにこれほど多くの企業が参加しているとは驚いた、というような感想を学生からいただいた。われわれ半導体産業のど真ん中にいると、意外に気付かない半導体の重要性だが、その変化の速度に関してはもっと敏感にならなければ、本当に進歩が止まってガラパゴス化してしまう恐れがある。インターネットの速さは半導体の速さと同じだという認識が必要かもしれない。

(2011/01/17)
ご意見・ご感想