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スマートフォンとタブレットの時代を確信させる設備投資と顧客とのコラボ

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これからの電子市場はスマートフォンとタブレットが引っ張ることを何度か書いてきたが、メーカー側でもこの動きがはっきりしていた1週間だった。出版系メディアや印刷会社は電子書籍を目指しているが、単なる書籍の電子版では市場は開けない。電子書籍にプラスアルファを付け足すことで消費者は動く。先週は産業スパイの逮捕情報もあった。

スマートフォンの国内出荷台数が2010年度に対前年度比2.9倍の675万台に拡大すると市場調査会社のMM総研が発表したというニュースを12月17日の日本経済新聞は伝えている。12月14日の日経産業新聞は、IDCジャパンの国内7〜9月期における国内携帯電話出荷台数発表を伝えており、それによると前年同期比18.9%増の866万台に達し、メーカー別シェアでアップルが5位に入った。アップルの携帯電話はスマートフォン(iPhone)しか出荷しておらず、これだけで5位になったということは、これからのドライバになることは間違いない。

MM総研は、11年度にはスマートフォンの市場がさらに拡大し1545万台という予想を打ち出している。アップルのiPhoneやiPadの新バージョンをはじめ、アンドロイドを利用したスマートフォンが続々登場すると、海外の市場調査機関は予測しており、ここ2〜3年は騒がしくなる。

この市場動向と同期して、東芝やシャープがスマートフォンやタブレットPCに向けた中小型液晶パネル工場を新設するという計画を日本経済新聞、日刊工業新聞が共に伝えている。東芝は石川県に工場を新設するが、12月15日の日刊工業によると東芝が300億、アップルが900億円の投資を分担する方向で交渉が進んでいると報じている。シャープもアップル向けだが、1000億円を投じて三重県の亀山市に新設するという。アップルが投資額の多くを実質的に負担しパネルの大半を引き取るようだ。

米国ではアマゾンの電子書籍キンドルが大ヒットしているが、まだ日本語版が入手できない中で、国内ではiPadがその肩代わりをしている。書籍専用端末はソニーがリーダーを出しているだけで、シャープのガラパゴスは電子書籍専用ではなく、iPadと同じタブレットPCである。こういった中、書店、出版社、印刷会社など従来の紙ベースの書籍に対して危機感を募らせ、電子書籍のフォーマットやビジネスモデルなどを模索している。まだ答えはない中NHK出版が電子書籍を読んで読者が感想を共通できるというサービスを始めたと14日の日経産業新聞が伝えている。読者との対話が可能なインターネットならではのサービスといえる。

米国で大規模なインサイダー疑惑という記事が17日付けの日経の夕刊に掲載された。新聞情報では何がインサイダーなのかよくわからないが、12月17日付けのEDNのニュースを見る限り、新種の産業スパイである。従業員のモラル、働く意欲とも密接に関連する産業スパイは、過去のものではなく現代でも生きていることを今回の事件は伝えている。日経新聞で気になるニュースだったため、EDNのサイトを見ながら少し解説しよう。

FBI(連邦捜査局)は市場調査会社のPrimary Global Research(PGR)社の経営陣の一人を逮捕し、同社のコンサルタントとして内部情報を提供していたメーカーの人間4名を逮捕した。メーカー側で逮捕されたのはデル、AMD、フレクストロニクス、TSMCの元社員。デルの社員は有線通信不正行為とその共謀罪で12月10日に有罪となり、残り3名はその後逮捕された。デルの元社員は14万5750ドルを2007年末から2010年8月までに受け取ったとしている。

残り3名はそれぞれ電話会議に参加して、ヘッジファンドなどのPGR社クライアントに各社の内部情報を伝え、見返りに金を受け取ったという。いずれも有線通信不正行為と共謀罪、証券詐欺罪で逮捕された。AMDの元社員は売上高や平均単価、セールス指数、粗利益などの情報を伝え2008年1月から2010年3月までに20万ドルを受け取った。EMSメーカーであるフレクストロニクスの元社員は同社が生産しているアップル社の製品計画やサプライチェーンの部品情報などを提供し2008年1月から2010年6月に渡り2万2000ドルを受け取った。アップルとフレクストロニクスとの情報は社外秘であるにもかかわらず、その情報を外部に提供した。TSMCの元社員はTSMCの製品販売情報や出荷状況などを提供し3万5000ドルを受け取った。FBIは市場調査の許される範囲を超えていると判断し、逮捕に踏み切ったと伝えている。

(2010/12/20)

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