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台湾との関係を深め、新しいビジネスに期待をかける半導体・ディスプレイ産業

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先週は、台湾とのパートナーシップや取引を深めるというニュースが相次いだ。国内だけでビジネスを遂行していくにはもはや限界があり、半導体商社でさえ、グローバルなパートナーシップの道を模索している。

台湾が2010年のGDP成長率の見通しを8月時点の8.24%増から9.98%に上方修正した、と日本経済新聞11月19日付けが伝えている。この数字は1989年以来の高水準だという。経済のけん引役はズバリ、半導体と、スマートフォン、太陽電池であり、まさに成長産業と一緒に成長している。

台湾に関連会社を持つエルピーダメモリは2010年度中にも台湾証券取引所に上場すると、11月16日の日経が報じた。日本企業が台湾に上場するのはこれが初めてだとしている。ただし、福井市にあるシリコンウェーハ関連のケイ・エス・ティ・ワールドも台湾での上場を目指しているという。エルピーダは最近のDRAMの値崩れを防ぐため、子会社である台湾のレックスチップ社からのパソコン用DRAMの調達量を削減すると、日刊工業新聞が11月19日に報道した。レックスチップは台湾のパワーチップ社とエルピーダとの合弁会社から出発して設立した企業であるが、パワーチップへもパソコン用DRAMの生産を委託してきた。昨今のDRAM価格の下落によって削減するDRAMの生産量は明らかではないが、パワーチップからの調達量も含めるようだ。

一方、富士通セミコンダクターは台湾のスカイヴィア社と資本提携したと11月19日付けの日刊工業が伝えている。富士通の画像処理LSI技術とスカイヴィアの画像ソフトウエア技術を持ち寄り、2011年以内に製品化のメドをつけるという。スカイヴィアの現在の資本金は490万米ドル、富士通は300万ドルを出資するが、出資後の持ち株比率は明らかにしていない。狙いは、中国市場向けの次世代デジタルネットワークに対応したテレビ向け半導体の技術開発だとしている。

11月18日の日経産業新聞は、台湾の液晶パネルの大手友達光電(AUO)が、2011年末にも電界放射型ディスプレイ(FED)を日本の技術を受け量産する方針を固めたと伝えた。FED向けのベンチャー企業としてソニーが設立したエフ・イー・テクノロジーズ(FET)は、事業が一度とん挫した。それを引き継いだエフ・イー・ティー・ジャパンの長谷川正平ダイレクターは元FETの社長。国内にこの技術を生かす出資者を求めたが、誰も見向きもしなかったため、AUOにたどりついたという。AUOの陳來助CEOはLCDをローコストディスプレイの略だとして、高速画像のきれいなFEDに対して次の差別化技術と位置付けている。FEDの狙い市場は放送・医療向けのモニターだとしている。

半導体ビジネスのグローバル化の波は半導体商社にも及ぶようになってきた。国内半導体メーカーの事業再編と同様、半導体商社も再編が迫られ、グローバル化によって生き残りを図ろうという試みが出ている。これまで外資系半導体の輸入商社であった丸文は、大手FPGAメーカーの一つアルテラ社との契約を3月に終了したが、海外拠点を開設して新たな収入源の育成を急ぐ構えだ。米国の大手半導体商社(ディストリビュータ)のアローエレクトロニクスと提携しており、アローとの協力によって海外拠点を新設する。もう一つの米国大手ディストリビュータであるアヴネットは、7月にインテル製品を取り扱うユニダックスへのTOBを完了し、買収の意欲を見せている。国内の半導体商社は、旧NECエレクトロニクスと旧ルネサステクノロジのそれぞれが持つディストリビュータである特約店を従来の30社から16社に絞り再編した。かつて直販していた大手ユーザーに対して、特約店ルートを使うように定めたが、一方でルネサスエレクトロニクスからの人員受け入れ(いわば一種の天下り)も行うとしている。

(2010/11/22)

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