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半導体の業績回復は本物、SIAの発表は今年の半導体活況を裏付ける

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5月の連休中にビッグニュースはなかったものの、半導体売り上げが着実に増えているとことが鮮明になってきた。SIAが発表した2010年3月における世界半導体売上高は、対前年同月比58%増の230億6000万ドルに達した。対前月比でも4.6%増加しており、着実に増えていることがわかる。

年明けの落ち込みがいつになく少ない2010年 / 出典:WSTS

年明けの落ち込みがいつになく少ない2010年
出典:WSTS


1〜3月の四半期ベースで見ても前年同期比58.4%増の692億ドルに達した。この回復基調は変わらない。アイサプライが今年全体で3000億ドルに達すると予測する根拠は、この第1四半期の業績だ。従来なら11〜12月のクリスマス商戦に売り上げが伸び、1月には半導体売り上げは必ず落ちたのにもかかわらず、今年の1月は前年の12月よりも増加したという事実に基づいている。例年第1四半期の業績は、前年の第4四半期のそれよりも低下する。1〜12月の通年でみても、例年第1四半期の業績よりも後半の方が良くなっている。こういったことを顧慮すると、少なくとも第1四半期の業績である692億ドル×4よりは、ずっと高い売り上げになることは、よほどの不況が来ない限り、間違いない。だからアイサプライは、3000億ドルと予想したのである。

売り上げ増加を受けるように、NANDフラッシュをまい進する東芝は半導体の営業益が2011年3月期には1000億円になりそうだという見通しを10日の日本経済新聞が伝えている。ただし、2010年3月期の営業益は23億円と少なく、絶好調のフラッシュメモリーに対して、システムLSIや個別半導体などが足を引っ張っている様子がわかる。

フラッシュメモリーを持たない富士通セミコンダクターは2010年3月期、140億円の営業赤字を計上した。ただし、赤字幅は460億円ほど改善した。2011年度は営業黒字化を目指す。

三洋電機の半導体事業は2010年度に黒字化する見通しを明らかにしたと日経産業新聞が伝えている。生産拠点の統廃合や人員削減などリストラ効果によるもの。

半導体メーカーの好調さを受けて、設備投資も活発になっている。インテル、韓国のサムスン、台湾TSMCは2010年の計画はそれぞれ、48億ドル、5兆5000億ウォン(4600億円)50億ドル、と巨額だが、日本のメモリーメーカー2社は東芝が2000億円、エルピーダは1000億円を投入する計画だ。

今後の投資は、半導体の派生品、すなわち太陽電池や照明用LEDへの投資にも及ぶ。三洋電機は、今後3年間に太陽電池と充電池に2000億円を投資すると日経新聞は報じた。LED照明では、東芝がこれまでとは異なり、LEDチップの製造まで手掛けることを10日の日経新聞では伝えている。北九州にある半導体工場に100億円を投資して2011年にも量産を開始する。4インチのサファイア基板を利用する。チップの内製化により、LED照明全体の売上高は2015年度には3500億円を目指している。

(2010/05/10)

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