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DRAMの値上げは4月前半も続く、東京エレクトロンも業績回復へ

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先週のニュースでも先々週と同様、メモリーが好調である事を受けて半導体製造装置の大手、東京エレクトロンが2期ぶりに黒字に転換する見込みだというニュースが流れた。続いて、インテルの新しいプロセッサやSoCアプリケーションプロセッサなどのニュースもあった。富士通の元社長と富士通本社とのドロ試合はとどまるところを知らない。

4月17日の日本経済新聞によると、DRAMの4月前半の単価が1GビットのDDR3品が2.65ドルと、3月後半分と比べ0.1ドル値上げしたという。DDR3よりも速度の遅いDDR2品は2.4ドルでやはり0.1ドル単価は上昇した。パソコンの出荷台数は2010年1~3月で前年同期比24%増の7913万4000台となり、1〜3月期としては過去最高だとしている。パソコン用プロセッサの専用メーカーであるインテルも1~3月期で最高の売上高を達成したという。東芝はNANDフラッシュが好調で2010年3月期の半導体部門は黒字を確保した模様だとしている。

先週のニュース解説では大日本スクリーン製造が黒字になったことを伝えたが、東京エレクトロンは2011年3月期の連結営業損益は600億円前後の黒字になりそうだと日経新聞は報じている。2010年3月期は45億円の赤字になる見込みだが、今年度(2010年度)は黒字に転換するというわけだ。売上高は前期比50%増の6300億円を見込んでいる。

インテルがインテル開発者会議(IDF)を中国北京で開催し、今後のプロセッサのロードマップを示した。日経新聞では、「サンディブリッジ」というコードネームを持つ次世代のCoreプロセッサの話が掲載されたが、このグラフィックスコアも搭載したプロセッサに加え、AtomベースのSoCプロセッサの「トンネルクリーク」や、マイクロアーキテクチャをパーティショニングし直すことで消費電力を1/10〜1/50に低減する「ムアーズタウン」なども紹介したと、プレスリリースには述べられている。

富士通の社長解任を巡るドロ試合はますます底なし沼へと落ちて行っている。先週の4月14日水曜日、富士通は記者会見を開き、同社が反社会的勢力とみなした投資会社と付き合っていたことが野副氏を辞任に至った、という趣旨を発表、15日の日経新聞で報道された。しかし、野副氏は今回の騒動の最初の提訴(3月4日)において、自分で調べたところ反社会的勢力ではないことを確認したため、辞任を撤回するように富士通に訴えた。このことに対する回答として、今回富士通は、反社会的勢力との関係の疑いを示す情報や資料がある、と指摘しただけにとどまり、その資料の開示はしていない。

16日の日経新聞は、さらに富士通側が「反社会的勢力との関係が疑われる」とみなされた投資会社が富士通の役員3人を相手取り、総額3億3000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求め、15日東京地裁に提訴したと報じた。こういった一連の騒動から、富士通が「反社会的勢力との付き合い」と以前、みなされた前副社長だった小野俊彦氏が辞任した場合も同様に、「ハメめられた」とみる業界筋も出てきている。

今回の野副氏の富士通に対する辞任取り消しの訴えが明るみに出た3月5日の同社株価終値584円から9日に546円に落ちたものの、その後じわじわ回復させ4月16日の株価627円まで上昇させてきた。この反社会的勢力とされた投資会社の訴えによって、この後の株価はどのような道をたどるだろうか。富士通にとっては極めて対応の悪さを印象づける今回の記者会見だけに、いつまでこのドロ試合は続くのだろうか。1日も早く真っ当なビジネス、コーポレートガバナンスを築き、世の中の信頼を勝ち取ってほしい。特に同社の社員が最もかわいそうだ。経営陣によって働く意欲(モチベーション)を削がれたからである。

(2010/04/19)

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