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次の一手を模索する半導体製造装置メーカー

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先週、ビッグニュースはなかったものの、次の一手に向けた動きがあちらこちらで見かけた。半導体・エレクトロニクス産業がやはり産業を牽引するキーインダストリーであることは産業界の常識であるが、大日本印刷が発表した2010年3月期の見通しにおいて、非印刷部門の売り上げが印刷部門を抜きそうだというニュースは典型的な例だ。

2月24日付けの日本経済新聞によると、大日本の生活・産業部門の営業利益は過去最高の380億円になりそうだとしている。そのけん引役は世界シェアの7割を握る液晶用の反射防止フィルム。台湾、韓国が今や液晶向けフィルムの一大市場。グローバル化が奏功した。

シャープがCCDセンサーの売り方と製品を変え、グローバル市場を狙ったソリューション提案する方向に向けた。CCDは41万画素と130万画素という今どき低い画素数のセンサーを用意し、イメージセンサーからの信号を処理するICとしてデジタルカメラ用のDSPを開発した。CCDとDSPをセットにして中国などのBRICsに売り込む。ローエンドで大量の市場が見込まれる上に、デジカメ専用DSPだとカメラの仕様が多少変わってもプログラムによって簡単に変えられるため、短い開発期間でカメラ用の信号処理チップを開発できるという強みがある。

半導体製造装置メーカーとしては、何を次の一手とすべきか。先週3つの面白い試みが登場した。一つは東京エレクトロン(TEL)が次世代リソグラフィのEUV技術に関して、米ニューヨーク州アルバニーにあるSEMATECHの開発計画に参加すると発表したというニュースだ。2月25日の日経産業新聞にはそれ以上のことは何も書いていないのでプレスリリースを読むと、EUV露光技術とそれに関係するマスクの欠陥削減、マスク計測、光源、レジストプロセス、エッチングの研究を行うとある。それもレジストパターンの倒れやパターンのエッジラフネス、ウェーハ面内均一性などを問題と指摘している。

TELはCVDやエッチング、スパッタリング、コータ・デベロッパなどリソグラフィ装置以外のプロセスを手掛けてきた。しかし、リソは本来レンズメーカーでもあったニコンやキヤノンが強かったが、X線に近い波長13.5nmのEUVではレンズ系ではなく反射系を使わざるを得ない。となるとレンズのノウハウを知らないメーカーでもリソ分野に参入できるはず。あるいはマスク検査かもしれない。

マスクの欠陥検査装置ではニューフレアテクノロジーが第三者割当増資に踏み切ると発表した。増資の引受先は大日本印刷と凸版印刷。共にマスクメーカーである。ニューフレアは東芝と東芝機械が出資するマスク検査装置メーカーで、米KLAテンコールに対抗すべき国産検査装置という位置づけ。

装置メーカーのもう一つの次の一手は、後工程でモールディング機械を製造するアピックヤマダの採る、有機材料向けの塗布装置。プリンテッドエレクトロニクスや、有機EL、有機半導体などの回路を印刷などで形成するためのスプレイ噴霧方式の塗布装置で、大面積のデバイスに向く。

こういった次の一手だけではなく、微細化は順調に進展しており、FPGAメーカーのザイリンクスは28nmの製品を開発した。FPGAはプログラム可能なロジックであるが、チップがバカでかいことが難点。このため微細化は必須。

一方、サムスンは4GビットのDRAMを出荷すると発表した。40nm台のプロセスで作るという。4Gビットだと8個積んで4Gバイトが32ビットシステムの限界であるため、高集積化のメリットは価格しかない。パッケージ技術で複数のチップをスタックするため、もはやDRAMの高集積化はあまり意味をなさなくなる。

(2010/03/01)

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