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生産性向上、低コスト化、後工程など非微細化装置へシフト始めたセミコンJ

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先週は、半導体製造装置とその関連材料・部品などの展示会であるセミコンジャパンが開かれた週であり、装置関係の話題が多かったが、製造装置のトレンドはもはや32nmや22nmなどの微細化ではない。いかにコストを下げるか、生産性を上げるか、といった低コスト化技術の方向へ向かっている。

セミコンジャパン2009


典型的な例が、大日本スクリーン製造が開発した従来の半分という低価格のバッチ式洗浄装置CW-1500である。機能を絞り床面積を64%削減した。価格は5000万円と、毎年高機能高価格になってき装置に歯止めをかけるような動きだ。こういった動きは、日立国際電気にも見られる。「今年は、新製品はないが、スループットを上げたものがある」と展示責任者は言う。

コストが限りなく上昇してきた前工程製造装置の開発よりも後工程製造装置に重点を移す企業も現れた。アルバックは、後工程のウェーハバンピングやボンディングパッドのエッチング後のアッシング装置Luminous NA-8000を発表した。これまでの65nm向けのアッシング装置で培ってきた技術を後工程にも展開するもので、生産性を高めながら床面積を小さくし、低価格化を狙った。レジストを灰化するだけではなく他の残渣を除去するための13.56MHzのRFプラズマと2.45GHzのマイクロ波のチャンバも設け、フッ素系ガスを添加するエッチングもできるような機能も盛り込んでいる。


アルバック Luminous NA-8000


今年のセミコンジャパンではニコンやキヤノンが展示せず、最大のブースが後工程でウェーハからチップを切り出すダイシングソーに伝統があるディスコであったことは、後工程に価値を持たせるような方向が出てきている象徴でもある。

セミコンショー以外の話題では相変わらず、パワー関係の記事が多い。まず日産自動車が従来の2倍の電荷を溜められるリチウムイオン電池の開発にめどをつけ、2015年までに1回充電で現在の約2倍にあたる300km走行距離を実現する電気自動車を目指すと、日本経済新聞が11月30日に伝えている。リチウムイオン電池の充電回数や性能を決める重要な要素の一つが電極材料だ。Liイオンを行き来する電極をいかに劣化させないか、で充電回数は決まるため丈夫で長持ちする電極材料の開発に各社必死に取り組んでいる。電極が劣化すると電池の内部抵抗が高くなり、使用回数が減ってしまう。

東京電力と関西電力が共同でスマートメーターの実証実験に乗り出すと日経は伝えている。電力量の検針をM2M通信モジュール(モデム機能の入った小型の通信機)の無線機で行うことは欧州ではすでに実績がある。これは単なる電力量の検針だけだが、スマートメーターとなると検針以外にも機能を追加する。今回の実験では、検診に加え、時間帯や需給状況に応じた電力料金、電力ピーク時のエアコン制御などの機能について実験するという。

12月4日には三菱電機がパワー半導体やパワーモジュールの生産に35億円を投じ、生産規模を2割増やすと報じている。ハイブリッドカーに加え、海外での白物家電のインバータ化の需要に応じるもので、200mmウェーハのプロセスを強化する。モジュールなどの組み立てラインも増設するとしている。

(2009/12/07)

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