モーターショーは電気自動車関連部品の発表多い、トピックスはアマゾン増益
先週、モーターショーが開かれ、電気自動車とそれを支える電池の発表が新聞紙上をにぎわした。電動へのシフト、環境車向け部品開発強化、太陽電池車を開発、車載用電池の量産ライン完成、電気自動車電池の再利用、ハイブリッド車向けに海外で電池組み立て、などなど。気になる先週のトピックスはアマゾンの対前年増収増益だ。
モーターショーは幕張メッセの1〜8号館を使うだけのブース数に留まった。モーターショーは本来、幕張メッセを全館使用するショーとして名声を誇ってきたが、今回の不況はさすがにこたえたようだ。ブースの数はかなり減り、来場者数も以前ほどではなさそうだ。特に外国車がほとんど見当たらない。ただ、展示規模が縮小するのはモーターショーに限ったことではない。CEATECも小さくなった。12月のセミコンジャパンも小さくなる。
電気自動車へのシフトが各社鮮明になり、日産自動車は2010年に発売する「リーフ」に続き、12年以降商用車、高級車、2人乗り小型車を出していくとしている。その心臓部となる2次電池の性能はまだ満足いくものではないため、すでに発売されている三菱自動車の「iMiEV」や富士重工業の「スバルプラグインステラ」は軽自動車並みのクルマしか商用化されていない。そこで、電気自動車ほどではないが、ハイブリッド車に使われるガソリンエンジンと電池との関係をこれまでエンジン主体だったのを電池主体にするプラグインハイブリッド車にもトヨタ、ホンダのハイブリッド先行組をはじめ、スズキ自動車も力を入れている。
電池の進捗具合はどうか。日立製作所の子会社である日立ビークルエナジーは、出力密度を従来の2600W/kgから3000W/kgへと高めた車載用のリチウムイオン電池の生産ラインを完成させた。月産30万個の能力を持つ。この3000W/kgで4.4Ahのセルを50個直列接続したモジュールもモーターショーで展示した。従来のセルは小海線で4年間の実績があるという。日立はさらに出力を上げた4500W/kg、4.8Ahの角型セルを開発中だ。
三洋電機は、ハイブリッド車を生産する工場の近くで電池を組み立てる方針を固めた。海外の自動車メーカー、国内メーカーとも現地で組み立てる。制御用の半導体ICも現地ごとに調達する方向だとしている。ニッケル水素セルそのものは国内の洲本事業所に加え、加西事業所でも生産する。加西事業所には30億円を投資する。加えて車載用リチウムイオン電池の生産も加西事業所で始める計画だ。
自動車の主力エンジンにはまだ使えないが、太陽電池を自動車の屋根に搭載する動きも出ている。すでにトヨタはプリウスに載せているが、ホンダや日産も搭載車を展示したり、搭載する方向を示した。エアコンや室内の換気用など、あくまで補助電源として使う。主力のリチウムイオン電池の負担を少しでも和らげようという狙いである。
太陽電池ではシャープが宇宙用に効率が35.8%と高いInGaAs半導体太陽電池を開発したと発表した。宇宙用ではGaAs基板を使った太陽電池は十分な実績がある。シャープはGaAs系太陽電池を宇宙用以外、ソーラーカーレース用にも提供している。
半導体とディスプレイパネルの新しい市場になるか。米インターネット小売り大手のアマゾンは電子ブック「キンドル」の新作を先日発表しているが、売れ行きが好調のようだ。この不況にもかかわらず、第3四半期(7〜9月期)におけるアマゾンの売り上げは前年同期比で28%増の54億4900万ドルに達し、利益も同69%増の1億9900万ドルだったと発表した。
キンドルは日本でも発売されたが、今のところ結果はまだわからない。期待する声はあるものの、米国と日本とのお国事情の違いはある。米国ではどこにでも本屋があるという訳ではない。大都市には書店はあるが、地方へ行くと日本とは違って書店はまずない。卸から書店への全国ネットワークがないためだ。このためインターネットで本を取り寄せることはごく一般的になっているうえ、新刊を手に入れる場合でもキンドルがあるとすぐにダウンロードして読めるというメリットは大きい。しかも安い。ハードカバーで25〜35ドルで手に入る。キンドルならもっと安い。しかし、日本ならどこへ行っても書店は存在する。期待したいが、さてどうだろうか。