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LED照明が与えるインパクトはGaNウェーハの大口径化にある

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LED照明にパナソニックが参入を決めたというニュースが先週あった。パナソニックの関連会社であるパナソニック電工はすでにLED照明で実績を上げているが、パナソニック自体が参入することで照明大手のパナソニックが東芝に続き、LED照明分野が活発になってきた。従来の白熱灯・蛍光灯照明大手のNEC、三菱電機も参入を表明しており、残る日立製作所はどう出るか。クラウドコンピューティングも見え始めた。

写真はシャープの照明用LEDランプ

写真はシャープの照明用LEDランプ


LED照明は、輝度の高い青色LEDを黄色の蛍光体で包み、白色を出すようにしている。黄色はRBG(赤・青・緑)のうちのRGを混ぜた色であるから、黄色と青色で白色となる。基本となるLEDチップはGaN青色半導体であるから、GaNの半導体材料は照明用LEDの仕様に合わせて行かなくてはならない。

従来の豆ランプとしてのLEDは、チップ面積が0.25mm〜0.3mm角程度だが、照明用となればもっと高い輝度が要求され、大きな電流が必要になる。このためチップ面積は1mm角とこれまでの10〜16倍に大きくなる。となると、ウェーハの大口径化は必須だ。GaNウェーハの5インチ、6インチ化が求められる。LED照明は家庭や店舗、ビルだけではない。電気自動車のフロントランプは100%LEDになる。すでに三菱自動車のiMiEVも富士重工業のスバルプラグインステラにも使われている。少しでも消費電流を減らし、バッテリー寿命を伸ばしたいためだ。LED照明の用途は広い。

もう一つの話題は、9月7日付けの「農業の効率化、ITで支援」という記事だ。農業のようにサーバーやハイエンドのコンピュータを持ちたくないような分野にクラウドコンピューティングが向いている。逆にいえば借り物コンピュータで、農家は農業に集中できればそれに越したことはない。

茨城県つくば山を越えたフルーツラインと呼ばれる街道沿いに、いつでもおいしいイチゴを毎年生産している農家がある。その農家では、ITを駆使しイチゴの土壌に最適な温度、湿度、肥料などをセンサーで管理、制御することでおいしさを維持するシステムができており、他県からの見学者も多いという。ただし、コンピュータの維持費はかさむ。

こういった応用にクラウドコンピューティングはもってこいだ。クラウド(雲)の向こうにコンピュータがあるように見えるこの技術は、大手企業がコンピュータを持ちインターネットを通じて、アプリケーションソフトも含めて貸し出す技術である。借り手のコンピュータや制御機器は貧弱でもかまわない。富士通は農業法人に向けSaaS方式(アプリケーションソフトの貸し出し)によってインターネットを通じて経営管理ソフトを使えるようにした。

クラウドコンピューティングは、サーバーを自社で大量に持つ大手企業は、自社内のイントラネットを通じ自社内向けのクラウドコンピューティングを導入する方向であり、IT産業やエレクトロニクス産業、金融、鉄鋼業、製造業のように従来から大型コンピュータを使っている業種では、自社以外のクラウドを使う用途は今の所、見えない。だが、農業のようにITやコンピュータとは無縁の業界こそ、クラウドコンピューティングは向いている。

加えて、スマートフォンを使って音声認識や重い計算を行うような用途にもクラウドコンピューティングは使われる。例えば、米国の通信キャリヤ大手のAT&Tの研究部門AT&T Labsは家庭内のリモコンをすべて音声入力に替える研究をしている。リモコンの操作ボタンの数はともかく多い。これをオン・オフだけのボタンと音声入力ですべての機能を賄おうというもの。リモコンに向けて音声で5チャンネルとかテレビ東京などと言ったり、番組のタイトルや出演者の名前を言ったりすると、その音声がインターネットを通じてセンターのメインコンピュータへ送られ、音声パターンのマッチング計算を行い、その結果だけをインターネットを通して送られてくる。その間、1秒もかからない。クラウドコンピューティングは従来の応用の延長ではない。

(2009/09/14)

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