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WSTSが2008年の見通しをさらに下方修正、2.5%増の2619億ドルに

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WSTS(世界半導体市場統計)が2008年から2010年までの見通しを発表した。それによると、2008年の半導体市場は対前年比2.5%増の2619億ドルにとどまる。2007年が3.2%増の2556億円と比較的低成長だったため2年連続伸び悩んでいる。今年の5月には2008年の伸びを4.7%増、2009年の伸びを5.8%増、2010年には8.8%増と見込んでいた。今回の秋の予測は下方修正し、2009年は-2.2%の2561億ドル、2010年に6.5%増と再び成長すると見込んでいる。

WSTS 2008年-2010年見通し


2007年秋にサブプライムローン問題が発覚し、これによって米国の消費に陰りが見えてくるといった予想が当時の米国半導体アナリストの大多数の見方であった。この時点ではサブプライム問題が世界的に広がると米国のアナリストは見ていなかったため半導体市況への影響は米国の消費者だけの問題だとみなしていた。これが金融業界に大きなダメージを及ぼすことになるとは米国の半導体アナリストは誰も予想していなかった。このため半導体市場の予測が下振れになった。

セミコンポータルが発行している「エグゼクティブサマリーレポート」2008年2月号の「特集●2008年市場展望」によると、オリンピックと大統領選挙の年がこれまでになくネガティブに語られる年はかつてない、と述べていたが、その通りになった。2007年第3四半期のWSTSの予測では、2008年は9.1%増の2808億ドルと予測していた。これが2008年5月の予測では4.7%増と下回り、今回の一段と下振れの予測となった。

サブプライム問題が単なる米国消費者の消費手控えにとどまらず、欧州、アジアの金融機関へと債権の転売により、まるでネズミ講のように広がってしまったことを当時の半導体アナリストは掴んでいなかったといえよう。このため予測を下方修正を繰り返す結果となってしまった。

WSTSは、2009年の見通しを-2.2%としたのは地域別にみるとわかりやすい。現在最大の半導体市場であるアジア太平洋地域が1.1%のプラス成長をキープするが、米国市場は-9.8%、欧州が-3.6%、日本-3.8%という予想だから、トータルで世界的に-2.2%にとどまることになる。


デバイス別半導体市場


半導体市場をデバイス別に見てみると、ICの市場は2008年は1.4%増の2208億ドル、2009年は-2.8%とマイナス成長だが、2010年には回復し6.3%成長になると予測している。2008年のIC市場をさらに細かく見ると、MOSメモリーが最大のマイナス要因で-15.2%、MOSマイクロは1.5%増だが、ロジックは14.5%増と大きく成長し、アナログは3.2%増と堅調に推移すると見ている。

2009年にはロジックの0.4%増以外はすべてマイナス成長の見込みで、アナログが-4.7%、MOSマイクロは-4.2%、MOSメモリーは-4.8%としている。2010年にはすべてのICがプラス成長になると見込まれている。


(2008/11/19 セミコンポータル編集室)

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