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日本製製造装置は今後も海外で健闘する

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−SEAJの発表した半導体・FPD製造装置需要予測から

日本半導体製造装置協会(SEAJ)はこのほど、2007年度から2009年度までの半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置の需要予測を発表した。この予測は、大きく二つの分野で構成されており、日本製装置需要と日本市場での需要予測である。

これによると、日本製装置は2007年度、2008年度、2009年度ともプラス成長で、成長率はそれぞれ2.2%増、14.7%増、6.9%増とみている(図1)。日本市場に限定すると、それぞれ7.9%減、5.0%増、4.0%増と今年度は落ち込むと予測する(図2)。

図1 日本製半導体・FPD製造装置の販売予測
図1 日本製半導体・FPD製造装置の販売予測

図2 日本市場における半導体・FPD製造装置の需要予測

図2 日本市場における半導体・FPD製造装置の需要予測


この状況から言えることは、日本製の装置は国内市場では伸ばすことができないため、海外市場で伸ばしていることが読み取れる。日本製の製造装置の海外売り上げは順調に伸ばしていることを裏付けている。

半導体とFPDを分けてみると、半導体製造装置の伸びが特に著しい(図3)。日本製半導体装置は2007年度10.5%増の1兆9644億円、2008年度は11.5%増の2兆1903億円と見込んでいる。ただし、2009年度は北京オリンピック需要が終わることから伸びはやや鈍化し、5.0%増の2兆2999億円になると見ている。

図3 日本製半導体製造装置の需要予測

図3 日本製半導体製造装置の需要予測


一方のFPD製造装置は、半導体製造装置よりも販売額が小さいため、ゆれ幅は大きい。2007年度は25%減の4071億円と、前年よりも下がり、2008年度、2009年度はそれぞれ30%増の5293億円、15%増の6087億円と予測する(図4)。2006年度の5429億円を超えるのは2009年度になる。

図4 日本製FPD製造装置の需要予測

図4 日本製FPD製造装置の需要予測


半導体製造装置の日本市場での伸びは、海外市場と比べるとさほど大きくはない。2003年度から2006年度までは4年連続プラス成長でやってきたが、2007年度は8.4%減の9378億円と予測する(図5)。これは製造装置を牽引するメモリー半導体メーカーの戦略に大きく左右され、その装置市場はDRAMのエルピーダメモリとNANDフラッシュの東芝に強く依存する。特にエルピーダはパソコン向けのDRAM生産を台湾のパワーチップ・セミコンダクター社との合弁である台湾レックスチップ社で生産するための設備を増強するが、日本での工場ではないため、装置の販売は海外扱いとなる。

2008年には9846億円、2009年に1兆142億円とプラスの伸びは示すが、2006年の1兆241億円、2000年の1兆153億円にはまだ届かない見込みである。

図5 日本市場向けの半導体製造装置の需要予測

図5 日本市場向けの半導体製造装置の需要予測


ロジック系半導体の設備はメモリーほど微細化、最先端の設備が要求されないため、動きは鈍い。ロジック系半導体では特にインテルは微細化設備への投資を活発に行ってきたが、これは量産チップの平均単価が40米ドルという高額の製品を扱うからできることであり(米In-Stat社市場アナリストでインテルウォッチャーとして有名なジム・マクレガー氏による)、単価がインテルよりも一桁も安い日本のロジック半導体メーカーがインテルの向こうを張って設備投資を行なうことは無謀といえる。

なお、この予測は、SEAJの調査部会による需要予測と、SEAJ理事・監事会社21社による市場規模動向調査結果を総合的に議論、判断し、SEAJの相違としてまとめた結果である。

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