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急速に拡大する半導体IP市場 04〜10年のCAGR11.7%予想

2010年には23.5億ドル規模へ

 2010年の半導体IP(Intellectual Property) 市場は、半導体市場全体あるいはシリコン・デバイスのコア・プラットフォーム(シリコン・デバイスの中核となる部分)の市場を越える早さで急速に成長し、売上高23 .5億ドルに達するとの予測が、エレクトロニクス産業界のシンクタンクであるジェイスター株式会社から発表された。

半導体IP プロバイダ市場は、半導体産業で最も急速に変化している分野である。あらゆるデジタル機器に搭載される全てのチップは、必ず一つ以上のIP コアを実装している。この技術が無ければ、我々が当然のように利用しているエレクトロニクス機器は存在しないか、あるいは手が出ないほど高価なものになっているはずである。

今日、IP 市場の売上高は2004 年に20%以上成長し、12 億ドルを超える大記録となった。半導体の設計・開発において、IP はその重要性を増しており、特にシステムLSI(SoC)などコア・プラットフォームにおいてはその傾向が強い。これは最近始まったことではなく、プロセスノードが微細化されるにつれ、標準設計の一部としてIP を使用する必要性が増している。

ジェイスターは、IP 市場が半導体市場全体あるいはシリコン・デバイスのコア・プラットフォームの市場を越える早さで2010 年にかけて急速に成長し、売上高が23.5 億ドルに達すると予測している。IP 市場の利益は少数の「勝ち組」であるエンベデッド・プロセッサ企業に集中しており、この傾向はさらに加速する。また、IP 産業は大抵の成熟産業がそうであるように、買収・合併(M&A)の時代に突入している。

ジェイスターは、この市場全体が2004 年から2010 年までに年平均成長率(CAGR)が11.7%と堅調に成長すると見込んでいる。ロイヤリティは今年ライセンス収益を超えながらCAGR14.2%で成長し、コア・プラットフォーム市場よりも毎年数パーセント規模の差をつけて伸びると予測する。コア・プラットフォームの成長率に伴ってロイヤリティも成長するが、2007 年から2008 年の半導体市場の不景気が、ロイヤリティ市場全体の伸びを妨げる。ライセンス収益はASIC デザイン件数の後退に大きな影響を受けることになるが、成長デバイスであるASSP やPLD によって持ち上げられ、ロイヤリティには及ばずとも、継続した安定成長が見込まれる。

主要IP プロバイダと主要EDA ベンダが個別の方式や特別な契約/仕組みなどで対応したり、系統立った仕組みがなく、IP を使用できるツールが限定されてしまっているためIP を流通/運用するための一貫性ある標準的な仕組み作りが望まれている。この問題をクリアすることにより今後、CAGR が20%レベルのIP 市場拡大が期待できる、とジェイスターのチーフコンサルタントを務める小松道也は語っている。また、同社代表の豊崎禎久氏は「IP プロバイダの資金源とも言えるロイヤリティは、最も大きな収益源である。ロイヤリティのモデルはIP プロバイダと顧客の双方にとって利益となる。IP プロバイダにとっては、顧客のチップ収益の一部分となり、顧客は、IP プロバイダへ巨額の開発投資に対するリスクヘッジが出来ることになる。このような傾向から、長期的には、IP 市場の成長は、半導体業界の売上高(特にロジック製品)と密接な関係があり、これは新しい技術よりも市場の売上げについてあてはまるだろう。」と話す。

世界半導体IP市場の2010年までの予測

詳細は、ジェイスター株式会社の最新レポート「j-STAR insight半導体・電子部品ASIC市場動向調査レポート(Apr2007)」で解説(レポートに関する問い合わせ先:info@jsgi.jp

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