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半導体製造装置のB/Bレシオはどん底、津田建二の緊急提言

日本半導体製造装置協会SEAJが発表した2月の半導体製造装置のB/Bレシオ(販売額に対する受注額の比)は、かつて記録したことのない0.35という数字にまで落ち込んだ。B/Bレシオは先行きを示す一つの指標ではあるため、製造装置の売れ行きが今年は全く良くない、ということを示している。しかし、ここまで落ち込む意味を考えた方がよさそうだ。

半導体製造装置 日本製装置受注高/販売高


販売額は大きな波を繰り返しながら、徐々に減っていっているのに対して、受注額は減っていく一方である。製造装置産業はどうなっていくのか。販売額、受注額、それぞれのグラフを下に示すが、受注額は特に低くなりすぎているため、縦軸のスケールを広げたことに注意してほしい。


半導体製造装置 日本製装置販売高

半導体製造装置 日本製装置受注高


半導体製造装置は、半導体デバイスを作るために必要な新しい製造装置であるから、半導体メーカーは当分、古い装置で間に合わせて作っていく、という意思表示をしていると理解すべきであろう。新しい製造装置は、これまでは微細化を中心に出してきているが、半導体デバイスは微細化一辺倒ではない。この流れは、微細化しなくても半導体ビジネスをしっかりとやって、コストのかかる装置を世代ごとに取り換えることを半導体メーカーが認識して来ていることから起きている。例えば、リニアテクノロジーは0.7〜0.8μmのプロセスながら、不況においてもしっかりと二ケタ%の利益率を確保してきている。

すなわち、半導体デバイスが微細化一辺倒から微細化せずに付加価値を見つけていくという方向に変わったと見るべきであろう。となると、微細化を中心とした装置ではなく、生産性(スループット)、装置の床面積や小型化、バッチ処理から枚葉式、低コスト化、あるいはこれらの合わせ技、などへと力の入れどころを変えていかなければならない。もし、これまでの製造装置よりも安く生産性の高い装置が実現できれば、半導体メーカーは使うであろうし、その場合装置の売り方(ビジネスモデル)も変えてみる必要がある。要は装置のどこに付加価値を持たせるかである。すべて不況のせいにせず、この機会こそ、装置ビジネスを変えていくためにどうすればよいか、装置メーカー各社ごとにどこに付加価値を持たせて売っていくかを議論し戦略を作り直していくべきだろう。

もちろん、短期的には不況により設備投資を抑えていることが最大の要因ではあるが、上に述べたような長期的なトレンドも捉えておく必要がある。各社内のそれぞれの立場にとらわれない議論ができるメンバーを社内で探し、徹底的に議論してみることが次の成長につながる。外部のコンサルタント会社に丸投げしてもコストがかさむだけで適切な戦略を作れないことは痛いほどわかっているはずだ。


(2009/03/31 セミコンポータル編集室)

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