もしNvidiaがいなかったなら、24年第2四半期でもまだ回復していない
2024年第2四半期(2Q)における世界半導体市場は、前四半期比(QoQ)で6.7%増の1621億ドルという史上最高値に達した。これまで最高だった2021年4Qでの売上額より5億ドル増えた。市場調査会社のOmdiaは、この好調さはNvidiaによるものと考えている。その根拠として、Nvidiaの売上額を含めるか含めないかで大きく違うからだ。

図1 世界の半導体売上額の推移 出典:Omdia
半導体市場の回復を実感するかどうかは、Nvidiaという例外的に急成長した企業を除いて考える方が正しいかもしれない。そこで、Nvidiaの売上額を除くと、24年2Qの世界半導体の売上額は1382億ドルとなり、21年4Qの1558億ドルよりも170億ドル以上も下がってしまうことになる。
Omdiaが半導体市場を調べるためにカバーしている125社の24年2Qと21年4Qの違いを調べてみると、実に70%以上の企業が21年4Qよりも最新の24年2Qの方が売上額は低いという結果だった。ただし、その割合は徐々に回復していっている様子もわかる。1年前の23年2Qの売上額と比べて、24年2Qの方が低かった企業は50%強と下がってきたからだ。ただし、まだ回復したというところまでは至っていない。
Nvidiaの好調の原因はもちろん生成AI需要によるものである。生成AIではGPUを1社あるいは1カ所のデータセンターが大量に求めるため、需要が極めて大きい。NvidiaのGPUを含むAIチップは大容量・高速のメモリであるHBM(High Bandwidth Memory)と共に使われるため、HBMを構成するメーカーもAI需要の恩恵を受けられる。このためメモリメーカーの24年2Qの売り上げは400億ドルを超えると見ている。
Nvidia1社が飛びぬけた業績だったことから、半導体メーカー上位10社の占める割合は全半導体市場の64%にも達することになった。これまでの5年間の平均では10社で57%だったため、7%ポイント上昇し、寡占化が進んだと言えそうだ。ちなみにNvidia1社の半導体シェアは14.8%と極めて大きい。Nvidiaの業績とその企業に関する情報は、9月25日に開催する会員限定フリーウェビナーで解説する。